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これで解決?運用ルールが守られない真の原因を考える

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今回も、前回に続き、運用ルールが守られる状況を作るヒントを発信していければと思います。

前回記事:なぜ運用ルールは守られないのか?運用ルールの必要性について考える。

前回も触れましたが、運用ルールは「関係者全員で、同じ認識を持って、同じ対応を取るための指標」になります。しかしながら、実際には、運用ルールが守られていないという状況は少なからずあるのではないでしょうか。今回は、運用ルールが運用されるまでの流れを整理した上で、それぞれの工程で守られない状況を作る主な原因とそれぞれの解決策を考えていきたいと思います。

3. 運用ルールが運用されるまでの流れ

一般的に、運用ルールが策定されてから運用されるまでの流れは以下のようになるかと思います。

< 運用ルールの 策定 ~ 運用 までの流れ >

  1. 運用ルールが、文書化される
  2. 運用ルールが、関係者全員に対して教育、周知される
  3. 関係者全員が、運用ルールを理解する
  4. 関係者全員が、運用ルールを守ることに納得する
  5. 関係者全員が、運用ルールに基づいて対応を行う
  6. 必要に応じて、運用ルールの見直しがなされる

実際にはここまでがっちりとせずに簡略化していることもあるかと思いますが、「運用ルールを整理した上で、その内容を関係者に周知して、運用ルールに基づいて運用が始まる」という大きな流れは同じかと思います。運用ルールが守られていない原因のほとんどは、策定から運用までのいずれかにあると考えております。

以降では工程別に、その工程が原因となるケースや解決策について考えてみましょう。

4. 運用ルールが守られない原因と守られる状況に近づくために

1. 運用ルールが、文書化される

そもそも文章化されていない場合、必要な情報が文章化されていない場合には、この工程に原因があると考えられます。守るべき運用ルール自体が暗黙知として存在するものの、文章化されていないがために、後から加わったメンバに上手く共有がなされなかったり、時間とともに運用ルールの存在自体が希薄化してしまいます。

形はどうあれ、守るべき運用ルールなのであれば、文章化しておく必要があります。また、可能であれば、ルールだけでなく、目的や背景、期待している効果といった付加情報も合わせて、明文化しておくべきでしょう。

2. 運用ルールが、関係者全員に対して教育、周知される/ 3. 関係者全員が、運用ルールを理解する

周知が上手くなされていなかったり、必要に応じた教育がなされていない場合、また、教育を行ったとしてもあまり理解されてなかった場合には、この工程に原因があると考えられます。全員が理解しているかを判断することは難しいことかもしれませんが、以下のようなケースに該当する場合は理解しにくい運用ルールと考えてよいでしょう。

  • 運用ルールが複雑になっている。
  • 実務で考えたときに、どれが該当するのか分からない。
  • 運用ルールを守る必要性や目的がはっきりしていない。
  • 運用ルールが追加されるにつれ、全体的なつじつまが合わなくなっている。

中にもどうしても複雑な説明になってしまう場合やシンプルにしてしまうとかえって意味のないものもあるかと思います。そうした場合は、勉強会といったやり方ではなく、理解度を確認するための「理解度テストを実施」するといったやり方もあるでしょう。また、運用ルールだけでは具体的なところまで想像しにくい場合には、実務に基づいた具体例を説明すると効果的だと思います。

3. 関係者全員が、運用ルールを守ることに納得する

策定した運用ルール自体は理解されていますが、実務に沿っておらず運用ルールを守ることが困難な場合や運用ルールを守ることが現場の負担になっている場合には、この工程に原因があると考えられます運用ルールを守るのは人になりますので、納得が得られない限り、運用ルールが守られている状況に近づけることは難しいでしょう。

納得を得られない場合には、関係者に対してヒヤリングを行った上で、適切な対応を取る必要があります。特に、運用ルールを新しく策定する場合には、このルールがそのまま上手く運用に乗るかどうかが分からない状況だと思います。そうした場合には、一度、試運用(パイロット運用)を行い、そこで挙がった意見をもとにブラッシュアップを重ね、実際に運用できる形にしていくこともよいでしょう。

4. 関係者全員が、運用ルールに基づいて対応を行う

運用ルールを守ることが納得されているにも関わらず、運用ルールが守られていない場合には、この工程に原因があると考えられます。この場合は、しばしば運用ルールが複雑になっているケースや単純に多すぎるケースで発生しがちだと思います。複雑になってしまっている場合には、複雑な部分やボトルネックを見極め、見直す必要があります。特にお手本となる運用ルールが周りに存在しない場合には、どこがいけないかを見つけることが困難ですが、内部で解決できない場合には、運用ルールの見直しやボトルネック特定など運用改善の専門家(コンサルタント)に相談したり、同業他社のつながりを用いて、他社での取り組みを参考にするのもよいでしょう。

また、どうしても運用ルールがシンプルにならないケースもあると思います。しかし、「運用ルールは複雑であればあるほど、多ければ多いほど、人で守ることが困難」になります。なんでもツールが解決するわけではありませんが、このようなケースでは、「運用ルールをベースに運用を管理するツール(運用管理ツール)を用意すること」も一つの手として考えてもよいかと思います。うまく現状の運用ルールをツールに反映できれば、後はツールを使うだけで「自然と運用ルールが守られている状態を保つ」こともできるかと思います。予算があまり取れない場合も最近ではOSSも多く出てきておりますので、費用の掛からない範囲で試験的に試してみてもよいかと思います。また、どこかのベンダーからツールを購入する場合は、ツールを購入するだけにとどまらず、ベンダーが持つ運用ノウハウをお借りすることもよいかと思います。

5. 必要に応じて、運用ルールの見直しがなされる

運用ルールを策定し運用し始めたものの、見直しがなされていない場合には、この工程に原因があると考えられます。見直しが必要のないような運用ルールもあるかと思いますが、内部要因(業務のやり方が変化、新しいやり方が増えた.等)や外部要因(時代の流れ、ニーズの変化.等)に応じて、運用ルールも実務に即して見直しをかける必要があります。

また、徐々に運用ルールに基づいて運用をしていると例外や特例などが発生するケースもあります。少なくても、1年に1回のペースや基づく制度の変更のタイミングで、運用ルールの見直しをしたほうがよいでしょう。


今回は2回にわたり、運用ルールを守られた状況を作るためのヒントを発信させていただきました。システム運用の現場に7年ほどおりますが、システム監査時期に大変な思いをされている方や、現場に負担がかかる対策を取られているケースを目の当たりにしてきました。また、ある程度は、人だから仕方ないと目をつむり、システム監査で指摘されたら対応しよう、と半ば諦めムードの現場も少なからずありました。

まだまだお伝えしきれないこともありますが、今回の連載がそうした現場を少しでも良くするためのヒントになれれば幸いです。

それでは。

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