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導入事例

経営指標や医療現場で必要な情報の可視化を実現する医療情報を2次活用|越谷市立病院 様

経営指標や医療現場で必要な情報の可視化を実現する医療情報を2次活用|越谷市立病院 様

~リアルタイムで病床稼働率、看護必要度を“見える化”ではなく “見せる化” ~

電子カルテの活用や医事会計など、医療業界におけるIT化が急速に進んでいます。複数システムのデータをDWHシステムで統合し有効活用するというビジョンがある一方で、病院の規模が大きくなればなるほど、取扱うデータのレコード数が膨大になることから、経営や医療現場への指標・統計などのデータ分析の提示は、なかなか進んでいないのが実情です。

越谷市立病院では、段階的に進めたIT化の一環として、データ加工ツール(ETL)とビジネス・インテリジェンスツール(BI)を導入し、医療情報の2次活用として、稼働率や看護必要度が電子カルテを起ち上げると自動的に表示されるしくみを構築しました。その狙いと効果とは?

導入製品・サービス

Waha! Transformer

導入メリット

  • 病院のリアルタイムな経営指標をグラフで視覚化
  • 糖尿病患者の精細な分析か可能
  • 看護必要度のシミュレーションを実現

「情報を見ることができる」だけでは周知は進まない

事務部 医事課

事務部 医事課
医療情報担当
主幹
佐藤 雅俊 氏

「定期的な会議で、収益や患者数が報告されても、その情報が各科のスタッフに伝わっているかは疑問。分析データを用意しても、そもそも興味のない人は見にくることはありません。データを見ることができる体制を作っても、誰も見に来ません。だからこそ、強制的に“見せる”ことが効果的だと思っていました。」

こう説明するのは、越谷市立病院の事務部 医事課 医療情報担当主幹 佐藤 雅俊 氏です。同病院では、平成19 年に病床の稼働率、収益の年度比較、損益分岐点などの経営指標を分析するためのツールを導入。経営会議にて数値を共有していました。しかし、様々なデータベースからCSV のデータを抽出して、会議用に数値として提出するのは年1 回。しかも、集計し終わるのは年度が終わってから数か月という日数を要していたこともあり、単なる事後報告に留まっていました。「リアルタイムではないデータなので、数値自体も魅力的でなく、『ここに格納してあるから』と告知しても、誰も見に来る状態ではなかった」というのが佐藤氏の実感です。

そこで佐藤氏が「今朝の段階で、病床がこれだけ空いてしまっている…という状況を、強制的に全職員に見せる手法はないものか」と模索していたところ、目にしたのがユニリタの病院におけるデータベース活用の事例でした。「病院のリアルタイムの経営指標をグラフで視覚化することや、医療の質の向上につながるデータを提示するなど『こんなことができるのか!』と正直言って驚いた」と佐藤氏は振り返ります。

実質2 週間程度で「やりたかったこと」を実現

事務部 医事課

事務部 医事課
医事担当
主査
間中 辰徳 氏

佐藤氏とともに、システム構築にあたった間中辰徳氏は、ETL『Waha! Transformer』導入時の経緯を、こう説明します。

「もともと導入前に、事例の病院のシステムは視察させていただきましたが、実際にデータ分析を始めるにあたり、再度事例の病院にコンタクトを取り、具体的な分析手法を教えていただきました。その後は、当面の目標であった経営指標のグラフ化に要したのは2 週間程度です。導入した『Waha! Transformer』は、自由にいろいろな分析ができるものの、自由度が高い分、最初はどこから手を付ければいいのかわかりませんでしたが、分析手法を開示していただいてからはスムーズにプロジェクトは進みました。一度理解してしまえば、次のステップからは、自分たちでどうにかできる…というのは、大きなメリットです。」(間中氏)

経営指標以外にも、従来は複雑な分析が必要になった場合、各機器のメーカーに「こういうデータがほしい」という依頼をしていたとのことですが、Waha! Transformer』導入後は、この依頼が皆無になりました。「全データを開示して、2 次利用できるようにしてもらえれば、自分達であらゆる分析をすることが可能になった」と間中氏は導入メリットを説明します。

また、佐藤氏は「分析したデータを、BI によって視覚的に加工できるのは、情報を『見せる』という狙いにとって重要なポイントです。『Waha! Transformer』で分析したデータをBI『Dr.Sum EA』との連携でわかりやすく可視化できるのは、非常にありがたい」と強調します。

電子カルテのトップ画面

電子カルテのトップ画面

「糖尿病患者の精細な分析」や「看護必要度のシミュレーション」も実現

「IT 推進をする部門長には『電子カルテを起動すると、その日の朝の段階での病棟ごとの稼働率を表示するようにします』と内諾はとっていましたが、一般の医師や職員にとっては、ある朝、突然、業務のためにカルテを起動した瞬間に、グラフが目に飛び込んできたことになります。導入当日の業務開始時間は、病院全体がザワザワしていた。(笑)」と間中氏が語るように、単に「見える」という状態にしてあるのではなく、強制的に「見せる」というしくみは、同病院の職員にとって大きなインパクトを与えました。

リアルタイムでの数値が共有されたことをきっかけに、ベッドの空きを待っている患者に対し、優先的に入院を勧めることができるようになるなど、病床稼働率が改善。「見える化」された月から稼働率が上昇し、対前年度比では2.2 ポイントUP(売り上げにして2 億円)となり、結果、『Waha! Transformer』と『Dr.Sum EA』への投資の回収も短期間で実現しました。

佐藤氏と間中氏は、経営指標の可視化に続き、様々な分析とビジュアル化を進めました。中でも、他の病院ではなかなか実現できていない分析の例が、「糖尿病患者の精細な分析」や「看護必要度のシミュレーション」です。

糖尿病の患者の、本当の実態把握は、実のところ困難だといいます。というのも、電子カルテで糖尿病に分類されている患者を抽出しても、糖尿病と疑わしいために検査を行った数値等も含まれるため、正確に糖尿病患者数を導き出すことは困難でした。

越谷市立病院では『Waha! Transformer』を活用することで、検査の実測値をもとに糖尿病患者数を導き出したうえで「●●という薬を服用した人数は?」「そのうち検査数値が変わったのは何人?」など、正確な元データをもとに、医療現場での指標となる数値の分析が行えるようになりました。 「内科の医師からの依頼で分析を行いましたが、データを出したところ『え?本当にそんな分析できたの?』と言われて…。ダメもとでのオーダーだったようですが、『その分析ができるなら、こんな条件の場合は?』と次々とリクエストされました。従来は、どのようにすれば分析できるかがわからなかったことでも、やってみると瞬時に分析できます。9,300 万レコードというような膨大なデータなのに、止まらずに動いているのがすごい」と佐藤氏は強調します。

看護必要度のシミュレーション

看護必要度のシミュレーション

診療報酬改定毎に行われる、紙ベースの帳票による手作業でのデータの収集とシミュレーションを廃止。 電子カルテに、改定により新設されたものや変更があった項目だけを追加し、日常業務上で記入してもらうことで、看護必要度の集計を自動化して、診療報酬改定後の状況をリアルタイムでシミュレーション。

糖尿病患者の精細な分析

糖尿病患者の精細な分析

9,300 万レコードの膨大なデータから糖尿病患者の正確なデータを抽出。 さらには「●●という薬を服用した人数は?」「そのうち検査数値が変わったのは何人?」など、正確な元データをもとに、医療現場での指標となる数値を分析。

また、「看護必要度のシミュレーション」は、経営に大きな影響を与える数値ですが、各病院とも手作業で苦労している分析にあたります。

「入院収益に大きな影響を与える入院基本料の基準に、入院患者の病状や看護の手間などを数値化した看護必要度というものがあり、2年に一度行なわれる診療報酬改定では、この数値を導き出す項目や基準が変更になります。改定時期には、この素案が示された段階から改定後の状況をシミュレーションしますが、一般的には各病棟に紙ベースの帳票を配布し、その日の患者の状態を手書きで記入してもらい集計する…というフローが必要になります。越谷市立病院でも、以前は同じ方法をとっていました。しかし、現場に対する負担も大きいですし、集計にも手間がかかるため、1 週間や2 週間と期限を決めて集計を行い、おおよその数値を把握する…という正確性に欠けるものでした。

毎日の実情を把握し、将来的なシミュレーションを行うために、既に導入されていた電子カルテに改定により新設されたものや変更があった項目だけを追加し、日常業務上で記入してもらうことで、看護必要度の集計を自動化するようにしました。数億円規模の診療報酬の増減は、経営に大きな影響を与えますが、従来の方法では、結果として改定が適用される新年度が始まってみないと判断できないものでした。当病院ではシミュレーションによる数値化で、年度終わりの2 か月前には指標を達成できる手ごたえを持っていました。万一、目標数値に届かない時には、経営側は収益確保のための新たな方策を早くから検討することができます。」(間中氏)

電子カルテの改修自体は、他の病院でもさほどハードルは高くないものですが、シミュレーションが行えるのは、『Waha! Transformer』と『Dr.Sum EA』の連携があってこそ。この点で、他の病院では実現できない数値化も、越谷市立病院では「見える化」「見せる化」ができるのです。

「導入してしまえば追加の保守費用もかからず、自分たちでどうにかできる」といったシステム面での特性や、「将来的な病床の再編などにも必要なデータを、求められる前から用意することもできる」といった提案型の業務を行えることも、『Waha! Transformer』と『Dr.Sum EA』導入の大きなメリットとなっています。

今後について

今後の事務方のあり方として「経営的な利益を上げるための指標やアイデアを提示していくことが必要と考えています」と佐藤氏は説明します。「アイデアだけでは医師の方々は動いてくれません。根拠となるデータとともに提案を進めることで、出来る・出来ないの中で医師の方々に頑張っていただける」(間中氏)と強調します。

今後も、根拠となるデータとともに経営的な利益を上げるための指標やアイデアの提示を進めていく予定とのことです。

越谷市立病院

地域住民の求める医療を提供することを目的に、1976 年1 月に開設され、越谷市を中心とした埼玉県東南部の6市1町、約110 万人の人口をカバーする公立の総合病院。
2008 年埼玉県内の公立病院では初めて、急性期病院を対象としたDPC(診断群分類別包括評価)対象病院となり、2012 年には埼玉県東部地区では初めての脳卒中ハイケアユニットを設立した。その後、内視鏡検査や外来化学療法を専門に行なう施設を新設。その他にも、崩壊が著しい周産期医療や救急医療の担い手ともなっており、地域の中核病院としての役割を果たしている。(2016 年現在)

ホームページ : http://www.mhp.koshigaya.saitama.jp/

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