【2014年1月号】BSPマガジン

ビジネスに貢献するIT部門へ変革に必要なポイントを探る!

仮想化技術やクラウド・コンピューティングの普及など、テクノロジー進化によってIT部門の運用管理は、システム構築後の維持管理に留まらず、サービスプロバイダ的な存在となり、ユーザが求めるITサービスのポートフォリオを能動的に提供し、必要なインフラ制御といった機能と役割を兼ね備える必要性があります。

“成果”を設計するところから始める

現在のITに対する経営陣や事業部門からの要求は、業務の効率化やコスト削減にとどまらず、競争力の強化や新たな事業の創造、グローバル化などを支えるビジネス基盤へと広がっています。こうした課題に応えるべく、IT部門そのものが高付加価値を生み出す知識集約型の集団に生まれ変わっていく必要があります。そこで必須となるのが、「ITのサービス化ならびにその的確なマネジメント(IT Service Management、以下ITSM)」の実現です。

IT部門が社内のサービスプロバイダー的な存在となって、ユーザが求めるITサービスのポートフォリオを能動的に提供することで、ビジネスのアジリティー(俊敏性)が向上し、企業全体としてのパフォーマンスを高めていくことができます(図1)。

しかし、その重要性を認識しつつも、これまで多くの企業で実現できずにいます。最大の要因として「プロセスありき」「ツールありき」でITSMに取り組んできたことがあります。仕組みや形式に過度にこだわったITSMは、ユーザを置き去りにし、ビジネスに役立たない煩雑な手続きの山を築くだけに終わってしまいます。この課題をクリアするためには、ITSMは“成果”を設計するところから始めるべきと考えます。IT部門が担うべき業務の価値を明確に定義し、それを実現するプロセスを作り、ツールを適用するまで、ITSM実践のための3つのポイントをご紹介します。

「業務価値分析」で他社との差異化を実現する

一つ目は、IT部門の業務の価値分析です。具体的には、IT部門が担っている様々な業務を、「汎用的か固有的」「長期的に保有した場合価値が高いか低いか」という2つの軸からなるマトリクスで分類し価値分析を行います(図2)。例えば、ITアーキテクチャの企画・構想といった戦略策定、業務プロセス設計といった業務は、きわめて固有的であり、なおかつ長期間保有価値の高いものとなります。一方、オペレーション運用やプログラム開発/修正といった業務は、汎用的であり、長期間保有価値もそれほど高くないことが見えてきます。もちろん、企業によっては価値判断も異なり一概には言えません。

しかし、こうした多岐にわたる業務を、IT部門が全方位で担っていくことは困難であり、汎用的で長期間保管価値の低い業務については、外部サービスやパッケージを活用し、高品質・低コスト化を目指すべきと考えます。

また、厳しさを増すグローバル競争において、企業が勝ち残っていくためにも、競合との差異化の源泉となるコア業務にできる限り多くの予算や人材を回すべきと考えます。担うべき業務の意識的な“仕分け”を行い、メリハリを利かせた投資を行うことが重要と言えます。ITSMの本質も、「ビジネスの差異化につながる業務は何なのかを見極め、その価値を最大化していくこと」なのです。

「SMO」でITSMを推進する組織能力を向上する

次にITSMを実践していく上で欠かせないのが、組織横断型の専門組織となるSMO(Service Management Office)の構築です(図3)。多くの企業では、システム開発において開発プロジェクトが設立され、PMO(Project Management Office)による管理のもと、運用部門へと移管され、ITサービスとしてリリースされます。しかし、開発プロジェクトには「始まり」と「終わり」があり、リリース後、一定の期間を経過するとプロジェクトは解散し、担当者も次の企画や開発、運用へと移るため、ITサービスの提供における役割や責任が曖昧になってしまいます。

ITSMを実現するためのITIL®※活用プロジェクトにおいても同じことが起こりやすく、アセスメントからプロセス設計、ツールの導入、教育などを経て実装された ITIL®準拠のプロセスも、プロジェクトの解散後は継続改善するための役割と責任が曖昧になってしまい、成果を十分に得られないケースが見受けられます。この原因の一つとして、ITサービスを全体最適の視点から「継続的に統括、運営」する「役割と責務」を持った「機能・組織」が不在であることが挙げられます。これに対してSMOは、ITサービス全体のライフサイクルと品質とリソースの全体最適化を視野に入れ、SLAに基づいた安定的かつ継続的な改善を図っていくという点で大きく違っています。

ITサービスの価値を拡大するには、それをドライブするエンジンが必要です。SMOは、その役割を担う理想的な組織として、全体最適の視点からサービスレベルをモニタリングし、サービス価値をさらに高めるための活動を継続的に実施します、SMOはIT部門としてビジネスに提供していくべきサービスとその価値を明らかにし、具現化していきます。また、各部門のお客様やユーザとの相互コミュニケーションを図り、共通の目標達成を目指します。これにより、システムの個別最適化によるコスト増大と品質低下、複数ベンダーによる基準やプロセスの混乱、ITサービス全体の継続的な改善機能の不在といった、様々な問題を解決することが可能となります。

また、このSMOを体現すべくBSPグループが開発したのが、「ASMO(アスモ:Advanced Service Management Office)」と呼ばれるフレームワークです(図4)。ASMOフレームワークを全社的な共通基盤として活用することで、これからのIT 部門が ITサービスの提供を通して、価値創出と課題解決を実現し、より高度な役割を担う部門への変革を可能にします。見えにくいITサービスの価値の見える化を図り、グローバル化による競争激化のうねりや、永続的に求められるコスト削減にも応えていく、これまで多くのIT 部門が頭を悩ませてきた課題を解決し、創造力あふれるITサービスでビジネスと世の中を発展させる、そんな未来の実現をASMOは可能にします。

ITIL®: ITサービスマネジメントのベストプラクティスをまとめた、公開されたフレームワーク

ITIL準拠のツールでアジャイルな変革を

三つ目のポイントとして、多くのIT部門が変革を実現できない要因に「現状維持で手一杯」「ITSMを実践しなくても何とかなる」「人材やノウハウが無い」「既存の運用からの移行が面倒」などが挙げられるのではないでしょうか。では、仮にできる部分から、効果のあるところから始める「スモール&クイックスタート」ができればどうでしょう。

「ノウハウが実装されている」「可視化・分析ができる」「プロセス・指標が容易に変更できる」「部分的な導入ができ、あとから統合できる」など、成果を出す仕組みの部分を支援ツールで上手く補完することができれば、構築の手間やコストの低減、無駄な検討やリスクを回避することができます。業務の価値分析からSMOへと段階的に具体化してきたITサービスの運用体制を、最終的にITIL®準拠の自動化ツールにブレークダウンすることで、IT部門のアジャイル(俊敏)な変革がより確実なものになります。

BSPの「LMIS on cloud」は、ITIL®プロセスに準拠したイベント管理、インシデント管理、問題管理、変更管理、リリース管理、構成管理といったITSM機能をクラウド環境から提供しています。「LMIS on cloud」には、BSPグループが長年培ってきたITサービスの運用ノウハウ(ベストプラクティス)を凝縮したワークフローのテンプレートやサービスデスク機能なども用意されており、ITSMプロセスのスピーディな構築と標準化をサポートしています。

また、ITサービスに関するあらゆる情報を構成管理システムCMS(コンフィグレーション・マネジメント・システム)で一元管理し、システム開発からテスト、本番移行、サービス提供の各フェーズで発生したインシデントや変更の情報を共有することで、ITサービスの継続的な改善と品質向上を図るライフサイクル管理を実現します。クラウド型のサービス提供モデルのため、新たにサーバを追加購入することなく、将来の負荷増加に対し容易に対応できるのもメリットです。

「LMIS on cloud」の最新バージョンでは、ITサービスの利用状況をエンドユーザに対して“見える化”するオプション機能も追加されています。「LMIS on cloud」にアクセスすれば、いつでもFAQやインシデントの状況を確認することができ、既知の問題であれば、エンドユーザ自身で解決することが可能となります。これにより、サポート担当者の負荷は大幅に軽減され、業務の効率化を図ることができます。

監修
株式会社ビーエスピーソリューションズ 取締役 藤原 達哉

まとめ

現状、抱えている課題や変革を妨げる要因を理由に、ITSMを推進または実践しないことは「時既に遅し」という状況を招くかもしれません。もちろん、IT部門の変革は、一朝一夕にできるような簡単なことではありません。しかし、だからこそ、少しでも早いスタートをきることが、数年後には大きな差になる可能性があると言えます。

出遅れないためにも、あらためてクラウド・コンピューティングをはじめとするインフラや関連テクノロジーの動向、ビジネス環境やユーザのニーズの把握、将来の方向性を正しく理解するこが重要です。

また、戦略や企画業務については、業務の知識・理解をベースに、世の中や業界の動向を睨みながら、自社のビジネスプロセスの課題を認識し、改革のポイント、IT適用による支援を進めることが求められます。そのためには、業務の知識・理解は当然として、問題感知力と、問題分析力も必要になります。新しいものの見方が必要な場合、企業内だけでは難しく、外部機関や団体を通じた異業種のIT部門との情報連携や、体系的な教育を積極的に取り込むことも有効と言えます。さらには、 国内外問わず、視野を広げた情報収集も行うべきでしょう。

2014年がスタートしました。IT部門がどうあるべきか、どのようなテクノロジーを採用すべきかなど、近い将来の「あるべき姿」に関する自分なりの考えや答えを持ち、関係者で徹底的に議論、「まず、できる部分は何か」「すぐ効果のあるところは」「今、着手すべきことは何か」などスモール&クイックスタートで、イノベーション(変革)を仕掛けてみてはいかがでしょうか。

進化する!最新データセンター特集(第14回)

BSPの仕分け・配信業務支援ツールを採用いただいている株式会社セゾン情報システムズ。西武流通グループ(当時)の情報処理機能の統合と新しい情報サービス業の創造を目的として、1970年に創業し、現在は、様々なビジネスの現場において培った豊富な経験とノウハウの蓄積により、開発設計から導入・運用にいたるまでITシステムライフサイクルに関するサービスを一貫して提供しています。

事業バランスの優れたITサービスを提供

株式会社セゾン情報システムズ
システムサービスセンター
副センター長 花香 勝 氏

株式会社セゾン情報システムズ(以下、セゾン情報システムズ、本社:東京都豊島区)は、主要な事業として、金融システム事業、流通サービスシステム事業、BPO事業、HULFT(パッケージ)事業を展開しています。これらのシステム基盤となるセンターマネージメントサービスでは、データセンターでお客様の重要なシステムをお預かりして、24時間365日にわたり安全かつ確実に運用保守するサービスを提供しています。

「弊社は、設立以来40年以上にわたり、業務システムの企画、設計、開発、運用を一貫して提供してきました。データセンターとしては、流通やクレジットカード事業領域の情報処理業務受託から発展し、現在では幅広い事業分野へそのサービスを提供しています。ハウジングサービスのみを提供するデータセンター事業者ではなく、またシステム開発やパッケージ販売のみを行う会社でもありません。お客さまの業務システムのライフサイクルを一貫して支援する、その中の一つのサービスのインフラとしてデータセンターを保有している点が、大きな特徴です」(花香氏)。

優れた立地条件と高品質の監視サービス

「分散していたセンターの統合と交通利便性を重視した都市型データセンターとして2009年に現在のセンターを開設しました。都市型の優れた点は、お客様のアクセスの利便性を確保し、かつ設備保守面において、特にハードウェアベンダーとの迅速な連携が行える点です。24時間365日のサポートと、お客様の事業継続性を確実に担保し、安定したインフラを提供しつづけるには都市型のメリットは非常に大きいと思います」(高井氏)。

「弊社の統合監視サービスは、パッケージと自社開発の両方を組み合わせたものを採用し、統合監視センターにおいて、一括集中監視を実現しています。複数の監視ツールを使って統合監視を実現し、効率的な運用を図っています」(関谷氏)。

業界唯一、システム基盤を延命する「つなぎ保守」

同社 システムサービスセンター
システムサービス統括部 統括一課
課長 関谷 祐一 氏

同社では、ハードウェアメーカのEOSL(保守終了)で、保守を受けられなくなった場合でもメーカに代わり延長して保守するサービスを提供しています(下図参照)。

「AIX、HP-UX、Solaris、IAなどのプラットホーム、各社サーバ機器、ネットワーク機器、PC、プリンタなどのデバイスにマルチに対応しています。保守窓口の一本化ができますので管理コストを減らすことができます。短期間のサーバ導入や保守切れのハードウェアでシステムを運用する必要が無くなりますので、ハードウェアによるシステム停止のリスクを大幅に回避できますし、また、ソフトウェアの新バージョンリリースに合わせたシステムリプレイス計画など、柔軟なシステムライフサイクル運用、管理が可能です」(関谷氏)。

強い運用、競争力のある運用実現を目指す

ITIL®準拠の運用を実践する同社は、1997年のISO9001取得から、2003年にISMSの認証基準、2011年のITSMS認証などの取得を業界でもかなり早い段階で実現しています。

「各認証取得は、結果として頂いたものだと思います。データセンターを始めた当初からインシデント管理や変更管理には注力してきました。障害の発生件数を減らすこと、お客様のシステム変更や移行時のリスクを無くすためのプロアクティブな活動を行っています。社内では、品質向上対策会議や、リリース前事前判定会議を定期的に行っています。現場の問題意識と運用品質を高く維持するために、半期に一度、優秀な改善提案へ表彰を行っています。この活動は今年で7年目を迎え、規模の大小ありますが、毎年、数百を超える改善提案が出ており、今までに3,400件の改善を実現しました。これからも徹底した高品質のITサービス維持、向上に努めてまいります」(花香氏)。

関連サービス&プロダクト

ITILプロセスに基づいたサービスデスク | LMIS on cloud

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ITサービスマネジメントツール「LMIS on cloud」は、クラウド上でインシデント管理や変更管理、構成管理を実現することができます。

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