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ユニリタのスマートフォーメーションサービス第2弾 攻めのITから入るデジタル変革(後編)

当該コラム(10、11月号)では、「攻めのITから入るデジタル変革」についてユニリタの考え方を解説しました。スマートフォーメーションサービスは「攻めと守りの両立」を掲げていますが、あまりにも文化が異なるこの2つの「モード」をどう両立させればよいのか、既存資産を抱える情報システム部門の立場から考えてみます。

ビジネスプロセスを整理してデジタル化の是非を見極める

ビジネスプロセスを整理してデジタル化の是非を見極める

例えば、あなたの会社が製品やサービスを代理店経由で販売するとしましょう。もちろん代理店は重要なパートナーですので、会社は専任の営業責任者や担当者をアサインします。この営業担当者はほぼ毎日代理店と連絡をとるでしょう。製品・サービスの提供側から代理店には、新しい製品情報や売れ筋情報が営業担当者を通して伝わります。一方、製品やサービスに関する問い合わせは代理店から営業担当者に伝わります。営業担当者はそれをヘルプデスクや保守部門、あるいは、開発部門に伝えるでしょう。そういう代理店が数百社もあれば、毎日数百の情報がそれぞれの担当者を経由して営業部長に伝えられます。営業部長はそれを整理し、関連する部門に伝えようとしますが、部門や役割ごとに必要とする情報が異なるため重要な情報が欠落する恐れがあります。この場合、インフォメーションフローという血液循環がどこかで詰まり、問題を引き起こす可能性があります。
代理店と対面で会話をすることは重要ですが、この情報がすべてデジタル化したときの価値を考慮すると、代理店とのコミュニケーションをデジタル化するクラウドアプリケーション(以下、Webサービス)の開発を検討します。そしてその際に活用できる開発・運用のプラットフォームがSCPなのです。

SCPの特徴はデプロイメントの容易性と マイクロサービスによるカスタマイズ

代理店とのコミュニケーションを行うシステム(以下、代理店システム)をスクラッチ開発していては膨大なコストと時間がかかります。代理店システムは利用ユーザが他社の従業員となるため、運用も24×365や利用ユーザが急激に増えることを考慮したスケールアウトのアーキテクチャを構築しなければなりません。SCPでは「代理店システム」を構築して、代理店ごとにカスタマイズして提供(デプロイメント)することができます。つまり、SCPはWebサービスの雛形を作り、さまざまな代理店に提供し、運用することができるプラットフォームです。
SCPのもう1つの特徴は、SCP上で管理されているマイクロサービスが使えるところです。コミュニケーションにはメール、チャットを使った双方向のコミュニケーションもあれば、お知らせや掲示板といった一方向のコミュニケーションもあります。また、最近では、動画を使ったコミュニケーションも頻繁に行われます。例として代理店の営業担当者への教育を、動画を用いたロールプレイング形式で実施できます。それらは、SCPの中でマイクロサービスとして定義されているため、Webサービスから必要に応じて利用できます。

先進企業はAPIで インフォメーションフローを進めている

最近のトレンドとして、先進企業はAPI(Application Programming Interface)で情報のやり取りを進めていき、APIエコノミーが確立されると言われています。企業はこのAPIを通して、取引先や社内のシステムを作るときに、さまざまな用途に応じてマイクロサービスを利用します。現在自社のシステムを公開していない会社も、近い将来、Webサービスを公開し、ビジネスを拡大することを考えています。

API導入前の業務の流れ

SCPにて提供されているマイクロサービスや既存システムとAPIで連携を行いながら新しいシステムを作るためには、ユーザ部門(事業部門)と情報システム部門が協力し、セキュリティを高めながら、Webサービスの構築を行わなければなりません。
APIには2種類の役割があります。1つ目は企業間(協力会社)と情報を交換する役割です。スーパーとメーカーがPOS情報をやり取したり、書店が出版社と本の売れ筋情報をやり取りするケースがありますが、これらがAPIとして連携することで、将来は人間の意思決定が入らずに人工知能が出荷指示を出したり、重版を決定したりできるようになります。これにより販売機会の損失を減らして、売り上げの拡大が見込めるでしょう。前述の「代理店システム」でも納期回答を行うAPIを使って、メーカーと直接繫がることができます。
2つ目の役割は企業内情報のやり取りです。企業間の情報流通を自動化できたとしても、企業内での情報流通が人手を介したものとなれば、そこには意思決定に最も重要なスピードが削がれてしまいます。前述の「代理店システム」で例えれば、営業や接客担当者が集めた顧客の声を、部門ごとに必要な情報を振り分け自動的に伝えることができます。例えば、代理店と営業担当がチャットでやり取りをしている情報を昨今話題のチャットボットが関連部署に自動的に伝えることができます。これはすべてのシステムがAPIで連携できていればのことです。

ユニリタのSCPで提供されているマイクロサービス

SCPのマイクロサービスレイヤーとプラットフォームレイヤーには以下のようにさまざまなマイクロサービスが用意されています。

ユニリタのSCPで提供されているマイクロサービス

また、今後3rdベンダーのマイクロサービス(SIer/CIerやユニリタグループのマイクロサービス)をSCP上で利用できるようにすることを検討しています。例えば、帳票作成のマイクロサービスと連携すれば、代理店との間で請求書などを発行して、代理店と共有することも可能となります。

ユニリタのSCPはセキリュティにも強い

ユニリタではAPIのセキュリティ強化をするために、API Proxyと呼ばれる、Gatewayを提案しています。API Proxyはログ収集機能があるため、誰がいつどんなAPIを使ってどのデータにアクセスしたかという履歴を管理しています。多くの場合これらはセキュリティ要件で必要となりますが、前回のユニリタマガジンで解説した、「インフォメーションフローから生まれたデータを活用して人工知能で意思決定を自動化する」ことができます。

ログを使ったデータ活用

SCP上のマイクロサービスを利用してお知らせ、ビジネスチャット、動画メディア管理などを使い代理店とのコミュニケーションをスムーズに行えるだけではなく、API Proxyを使って安全に基幹システムと連携し、商品マスタ、顧客マスタ、在庫情報、在庫引き当てなどのオブジェクトを「代理店システム」からオンラインで呼び出すことができます。
API ProxyではAPIで連携する方法、データベースで連携する方法、Webサービス(SOAP)で連携する方法などを用意しており、混在している環境でも、シームレスに利用できます。このようにシステムはすべて新規に構築するのではなく、既存のシステムを組み合わせながら新しい技術を加えて作る時代になりました。

API連携基盤

攻めの運用と守りの運用

インフォメーションフローを確実に行うためには、その仕組みを運用することが求められますが、運用要件をシステムに組み込むのは大変時間がかかります。
また、攻めのITには従来の運用要件とは異なる考え方が必要となります。基幹システムでは利用ユーザ数、利用時間、データ量などを想定しあらかじめ運用計画や、障害時の復旧計画などを作成します。これは利用者がほぼ特定されているので、可能なことなのです。
攻めのITでは、ユーザ数や利用頻度が急激に増加し運用計画を立てることが難しくなります。特に、新しい取り組みを行う場合は、プロトタイプを作成し運用してみないと利用者を把握できません。攻めのITではこれらの課題を解決する運用方法が必要です。

注1)Immutable Infrastructureとは:不変なサーバ基盤のこと。一度サーバを構築するとそれに修正を加えないことを意味する。ソフトウェアの更新では現在の本番環境に対して、修正を加えたものだけを入れ替える更新方法をとることがあるが、この方法だと、開発と本番の作成手順が違うため、開発環境で正常に動作していたソフトウェアが本番環境では正常に動作しないときがある。

デジタル変革のサービスでは、システムはウォータフォール型で開発は行いません。システムの骨格をまず開発します。骨格ができれば、リリースを行い、ユーザに利用してもらいながら改善のサイクルを回します。 すなわち、Design→Build→Operation→Learnのサイクルを回すことで、サービスはユーザに受け入れられるシステムとして成長していきます。
今回は身近な例として「代理店システム」を取り上げて説明しましたが、SCP上に構築される「Webサービス」全般においてこの考え方は活用できます。

結論

最後に、前号より説明してきた、「攻めのITから入るデジタル変革」についてまとめます。

攻めのITから入るデジタル変革

担当者紹介

戌亥 稔

執行役員
デジタルサービス本部
Be.Cloud部長
戌亥 稔

製品・サービス

コミュニケーション型PaaS「スマートコミュニケーションプラットフォーム(SCP)」

コミュニケーション型PaaS「スマートコミュニケーションプラットフォーム(SCP)」

SCPは、企業のデジタルトランスフォーメーションや、ソフトウェア開発会社がクラウドサービスを素早く構築して展開できるクラウドサービスです。
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