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データセンターサービスのトレンドと ITサービスマネジメントの 新たなるビジネス機会を探る(後編)
SIerとCIerのデータセンターの違いと求められる運用要件とは?

前回から2回にわたり、最近のデータセンター(DC)の動向とそこに求められる運用要件についてご紹介します。前編ではDCにはSIer型とCIer(クラウドインテグレータ)型がありそれぞれ、利用形態や想定する顧客ターゲットが異なることを述べ、さらにSIer型DCの運用要件についてお伝えしました。今回はCIer型DCについても考察してみたいと思います。

前編の振り返り

DCビジネスは2000年前後からのインターネットの登場に伴うアクセスポイントの用途として市場が拡大しました。そして2000年代に入り、1990年代に建てられたユーザ企業の保有するDCの老朽化問題が顕在化。さらに2011年に起きた東日本大震災などをきっかけにBCP(Business Continuity Planning)/DR(Disaster Recovery)対策としても、基幹系システム向けの受け入れ先として利用用途が拡大してきました。国内のDCビジネスは現在も年率6.7%の成長を続けており、その市場規模は、2016年度は、1兆953億円と言われています。(出典:IDC Japan株式会社 国内データセンターサービス市場予測 http://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/20161207Apr.html)
このように、ユーザ企業各社は自前のDCの保有から外部のDC事業者にIT資産を預ける動きが活発化してきたわけです。そして、DC事業者にも複数のカテゴリーがあり、主にDCの建物/設備、およびネットワークを提供する“SIer型DC”とクラウドコンピューティングを前提としてDCビジネスを行うCIer型DCがあります。外部のDCを利用することによって、利用者であるユーザ企業側のシステム運用要件も変わります。SIer型DCを利用する場合、1点目は「リモート運用環境の構築」、2点目は「SLA(Service Level Agreement)に基づく委託先管理の実施」、3点目は「構成管理における、より一層の厳密化」、4点目に「運用業務プロセスの可視化、標準化、自動化」がより重要になることをお伝えしました。

クラウド型DCの台頭

ここ数年、SIer型DCビジネス市場は成長性が鈍化してきています。一方でCIerの台頭が既存のDCビジネスにも影響を与え始めています。また、CIer型DCでは、IT機器およびOS、ミドルウェア、データベースなどアプリケーションを動かすための基盤をすべて委託先の事業者が提供します。したがって、CIer型DCのビジネスモデルは、従来のスペース提供型から、コンピュータリソースを提供するモデルに変わってきています。 ITリソース・ミドルウェア、アプリケーションの利用が拡大することで、それらを動かすためにパフォーマンスの高いITリソースが必要となり、その結果、非常に大きな電力量やIT機器の設置スペースなどを備えるDC設備の利用拡大が進むことが見込まれています。

CIer型DCの運用要件とは

1) システム運用業務から解放される?
すでにCIer型DCを利用している企業ユーザにおいても、そのほとんどが自社のDCあるいはSIer型DCで稼働するもの(オンプレミス)とCIer型DCで稼働するクラウド環境のそれが混在するいわゆるハイブリッド型のシステム構成である場合がほとんどです。(図1参照)

したがって、ビジネスあるいはアプリケーションの観点からは、オンプレミスとクラウド環境の双方のシステムをシームレスに運用することが求められます。仮に、すべてのシステムがCIer型DCのクラウド環境に構築されていたとしてもビジネス(=サービス)を止めない、品質の高いサービスを継続して提供するための責務は、委託先ではなくIT部門側にあります。CIer型DCを利用すると、従来以上に外部のサービスへの依存度が高まります。したがって自社のITについて利用者の視点からITをサービスとしてきちんと定義しておく必要があります。定義のないまま外部のサービスを利用すると、それが企業の活動の目的と合致しているのか、要件や性能を十分満たしているのかを正しく評価することができません。

2) システムのライフサイクルが変わる
CIer型DC(≒クラウドサービス)の利用は、システム基盤のライフサイクルの考え方にも変化をもたらします。従来のシステム基盤は、システム刷新などの開発プロジェクトの一環として新たに構築され、その後運用フェーズに入り、老朽化の期限を迎えるまでそのまま使われ続けるというプロジェクトを単位としながら、構築、運用のサイクルが回っていました。ところが、クラウドサービスでは、従来の「作って、捨てる」という形態から、「継続的に使い、徐々に拡張や変更を加える」という形態にライフサイクルが変わっていきます。これによって、基盤の設計、構築にかける工数を低減できる反面、その後の運用費はコスト削減の波にさらされることになり、維持管理、運用に携わる人材や体制の確保が難しくなるという弊害を生じさせます。しかし現実には、外部のサービスを利用する場合も、システム基盤への要求と現実のサービス状況を分析し、利用者に提供するITサービスの要求レベルを把握しこれを確保する必要があります。 すなわちより高いレベルのITサービス管理能力が求められるようになります。

3) DX(デジタル変革)を支援する運用プロセス改革
 CIer型DCを利用する顧客には、従来のIT部門とITによるビジネス(デジタルビジネス)を推進するビジネス部門が存在します。ビジネス部門の考えるシステム運用に対する要件は、従来のIT部門が求めるものとは少し異なります。その理由は、両者の立場の違いに起因しています。たとえば、ビジネス部門はIT部門に対して「あらゆる業務プロセスをDXで変革したい」、「IT部門がDX技術を駆使してこれを実現するのは当然である」という過度な期待があります。一方でIT部門にとっては「業務知識がない」、「いきなり言われてもビジネスアイデアが浮かばない」、「工期、コスト、セキュリティなど…」と言い訳をしがちです。すなわち”既存の基幹系のシステムを確実に運用すること(Mode1)”と“ITにより本業のビジネス変革を推進する攻めのアプローチをしっかりサポートすること(Mode2)“の2つの異なる要件が存在するわけです。
 この2つの異なる要件に応えるためには『攻めと守りを両立させるための運用プロセスの変革』が必要です。(図2参照)

Mode1が、従来の「企画」→「開発」→「運用」というウォーターフォール型のシステムライフサイクルを前提とするのに対して、Mode2は、「リーン」、「アジャイル」、「DevOps」という3つの要素をバランスよくコーディネートすることによりシステムを実装し、ITサービスをビジネススピードに合わせてすばやく利用者に提供することが求められます。極論すると、Mode1は絶対にシステムがダウンしない仕組みを作るので、堅牢性をアピールできますが、その分コストは高くなります。一方でMode2は、99.9999%以上の高い稼働率を保証する仕組みを作るよりも、仮にシステムがダウンしても、低コストで迅速な復旧ができる仕組みを変化に強い柔軟な基盤によって実現します。そして利用者は提供された新たな仕組みを利用しながら事業性を評価することで、その後の環境を整備し強化していくわけです。SIer型DCでは堅牢な設備を確保し絶対に止まることが許されない信頼性の高いシステムを運用する。CIer型DCでは早期実装を実現し、高い拡張性で入れ替えの激しいシステムを運用する。これら2種類のDCにも同様のビジネスモデルの違いが起こっているのではないでしょうか?

これからのITサービスマネジメント

企業自らがDCを保有することから、外部DCの利用へ経営方針が変わり、さらにはクラウドコンピューティングの活用度が高まるにつれ、コンピュータ機器、OS、ミドルウェアなどのITリソースも自前で「所有」することから、外部の事業者が提供するITサービスを「利用」する形態に変わりつつあります。この先、システム運用業務は、自社で行う必要がなくなるのでしょうか?さにあらず。“運用業務の中味”は変われど、そのミッションはますます重要になっていくと考えています。クラウドコンピューティング、DXの到来を迎え、システム運用部門にはITにサービスの考え方を取り入れる先駆者の役割がさらに期待されています。まさに”it’s YOUR turn!”なのです。

担当者紹介

取締役 常務執行役員
デジタルサービス本部長
兼 コーポレート企画室長
渡辺 浩之

 

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