働き方改革が色々議論されている中で、スッキリ来ていないところがある。
考えるきっかけはこれ↓
確かに4つの箱で説明するとわかりやすい。しかし、これは4つの箱に働き方をおしこめようとする観点が強いので、これはこれで、問題が沢山ある気がする。
例えば「女性活躍社会」はこの4つの観点にはない。この問題を「働きたい女性は、残業も受け入れてはたらけばいいではないか?」という議論にしてしまうと、話がややこしくなる。
だから私は、働き方改革を話す時に、残業の話はあまりしない。と決めている。生産性を問題にしたい。何度も言うが
米国との生産性の差は100対62である。
勤勉と言われている日本人が、これだけの差をつけられているのは、残業の問題ではない。
働き方の問題なのである。総労働時間で考えればよくわかる。
米国の就業者1人あたりの年間総労働時間は1789時間で日本は1729時間である。
この数字を見ると働きすぎと言われたのは過去のことであることに気づく。もちろん、某広告会社の様なサービス残業はこの中には含まれてないと思うが、日本国全体がグルになってやっているのであればともかくそうでない場合は数字に影響はないのではないか。それは個別の企業Issueとして考えた方がいい。
こういう枝葉末節の話をしだすと、自宅で見ているメールは残業ではないのか?とバカげた話となる。もちろん、アメリカ人の中でも、自宅に仕事を持ち帰る人もいるし、しない人もいる。この様な議論になると働き方をどんどん縛る結果となるのである。
メールは非同期で、気付いた時にメールできるのが良いところである。決して、直ぐに返信を要求するものではない。カリフォルニアに住んでいる人が、東京に住んでいる人に、メールで質問をしても、「なんで直ぐに回答をよこさないのか?」とはならない。リモートワークとはそういうタイムラグも考慮に入れながら働くことである。だから、メールはフル活用してほしい。私は、ドイツの会社と長くやり取りをしていたが、テレックスからメールに変わってからは、著しく生産性が上がった。
とにかく、残業にフォーカスして話すとややこしくなるので、総労働時間で話そう。
生産性とは、一定時間内でのアウトプットではかることが多い。例えば、「年間の売上÷従業員の年間の総労働時間」などである。
分母と分子にするとわかりやすいのだが、分母の話ばかりする。残業時間を減らせば分母が小さくなるので当然生産性は上がる。しかし、それに伴って分子も下がるのでは意味がない。
売上の様なわかりやすいもので生産性を計算するのであれば、単純化して考えることが可能であるが、そうでないものもある。
よく製造業では単位時間あたりの生産量ではかるが、
売れない商品を在庫として積み上げても生産性が上がってしまう
ゴールドラット博士がザ・ゴールの中で話しているのはそこである。ソフトウェアで言うと、時間あたりのステップ数ではかるケースがあるかもしれないが、いくらコーディングがたくさん出来ても、ユーザに使われない機能を生産していたとすると、生産的であるとは言えない。
だから、賢いソフトウェアエンジニアはオープンソースを正しく使う。
自分ではコーディングしていなくても、ユーザが求める結果が出せればいいのである。
また、リーンスタートアップやアジャイル開発の手法を正しく使うエンジニアもいる。リーンスタートアップでは、使われない機能を生産しても意味がないので、使われるかどうかを確認をするためにMVP(Minimum Viable Product)を作成する。
MVPを作成した後は、少しづつ、しかしアジャイルに顧客のニーズに応えよう。IDEA>BUILD>PRODUCT>MESURE>DATA>LEARNの6つのステップが必要とされているのはそのためである。
しかし、このステップをゆっくり回していたら、競争に勝てない。そこで必要なのが、反復開発であり、継続的なデプロイメントである。それは、アジャイル開発であり、DevOpsに他ならない。
これらは、分子を上げて、分母を下げるためのツールとなる。例えば、分子をユーザが期待する機能(売上に結びつく)をいくつぐらいリリースできるか?になり、分母はその期間はどれくらいでやるのか?となる。
アジャイル開発では、リードタイムを短くすることができる。
ウォーターフォールでは出来ない。リードタイムが長くなり、無駄な生産を続けることになるかもしれない。
働き方改革は分母を下げつつ、分子を上げる工夫をしなければならないのに、分母を下げる議論が多過ぎるとおもう。女性活躍社会も、女性の観点でしかわからない、商品やサービスの改善に活かせてこそ意味がある。
だから、残業だけの議論はもうやめよう。働き方改革はマインド改革でもある。
時間で働く働き方から成果で働く方法を。
ウォーターフォールで使われない機能を永遠に作るやり方から、アジャイルでリードタイムを重視する働き方に。
マインドチェンジ
をしょう。