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IoT時代のビジネスモデル革新に備えよ! 事業の変革サイクルが速い企業が勝ち残る BPMによるビジネスモデル変換のスピードアップ

IoT (Internet of Things)

IoT (Internet of Things) と呼ばれるトレンドにまつわる事例や取り組みが日本でも頻繁に取り上げられるようになってきました。米国やドイツを中心とする標準規格の主導権争いには既に多くの日本企業も名乗りを上げ、技術は急ピッチで整備されてきています。今はまだ自前でIoT の仕組みを実装できる一部のデバイスメーカーや家電メーカーが先行していますが、今後はその仕組み自体が比較的簡単に提供され、センサー技術やビッグデータとは無縁であった、さまざまな業種・業態にもIoT の波が押し寄せます。アイデア次第では皆様の企業でも、これまで思いもよらなかった新しいサービスを提供できる日が近いかもしれません。 

ところで、技術は買うことができますが、果たしてそのような事業転換を容易に行うことができるのでしょうか?社内の組織や制度、長きにわたり変わっていない現場のプロセスやIT システムが足枷になりはしないか?という事が頭をよぎります。私どもはそこでBPM ( ビジネスプロセスマネジメント) の出番があると考えています。

「IoT の世界で成功を収めるには、BPM が有用である」。本コラムでは、このようなテーマについて論説してみたいと思います。

IoTにはビジネスモデルの変換が伴う

IoTにはビジネスモデルの変換が伴う

モノをインターネットに繋げてスマホからコントロールできるようになりました。しかし、これだけではIoTをうまく活用したとは言えません。ビジネスモデルを変換して、収益を得る仕組みを根本から変えることによってはじめてIoTは事業拡大の切り札となり得ます。

例えば、製造メーカーはこれまで製品を作り、その対価で収益を上げてきましたが、製品にセンサーを付け、お客様の利用状況や利用期間をモニタリングできるようになると、お客様が享受した価値を定量的に測ることができるようになります。製品の対価をいただくのではなく、価値を提供した量や期間に応じて、そのサービスの対価をいただくというビジネスモデルへの変換が考えられます。

既に、ある輸送機器関連のメーカーでは、お客様に製品を売るのを止め、無制限にその製品を提供するかわりに、走行距離や低減された燃費に応じた対価をいただくというサービスを試験的に提供し始めています。売上は提供した価値に依存するのであって、製品の原価や出荷数とは関係がないという構図になれば、市場価格の下落や需要変動等の制約から脱却し、収益を飛躍的に伸ばすことができる可能性があります。

ビジネスモデルの素早い変換ができないと 負けてしまう

このような転換期においては、その企画から市場投入までのスピードが重要になってきます。価値への従量課金ですから、市場投入が遅くなればなるほど収益を取り損ねますし、お客様の囲い込みに遅れを取ってしまいます。先行できた企業は、お客様から得られたデータを活用してさらなる価値の向上を図り、後続の競合を引き離すことができます。ビジネスモデルの変換に3年も5年もかけていたら負けてしまう事は明らかです。

新しい事を速く始めるなら、いっそ新しい会社を作ってしまえばよい、とお考えになるかもしれません。その通りで、恐らく多くのケースでは新規サービスの提供を専門に行う子会社を作り、事業をスモールスタートすることになりますが、設計、仕入れ、製造、物流など、その全てを新たに作る必要はありません。新会社と本社機能や工場が連携して、1つの新しいビジネスモデルを作り上げることになります。そこには組織設計、制度設計、プロセス設計、システム設計など、一連の構造変革が伴うことに違いはありません。

何がどう変わるのかを可視化することがポイント

日本では業務の可視化があまり浸透していません。理由は可視化しなくても現場に脈々と流れている業務ノウハウが先人から受け継がれてきたからです。上長は業務フローなどを見なくても現場の業務の流れがある程度想像できています。ところが、これまでの10年間変わらなかった業務の流れが、今後IoTの活用に伴って、今後の10年間で何度も変わる可能性があります。

これまでの慣習が通用しない全く新しいビジネスモデルを設計して検証するとなれば、関係者間でアイデアを具体的に共有し、意見を戦わせるための“青写真”(モデル)がないと空中戦になってしまいます。BPMはこの“青写真” の作り方として実績のあるフレームワークを提供してくれます。

ここで少し、ビジネスモデルの設計で有用となるモデリング手法の一部をご紹介しましょう。まずビジネスモデルそのものを表現する手法として「ビジネスモデルキャンバス」というものがあります。新たなビジネスモデルの主軸として価値提供するもの(これをバリュープロポジションと呼びます)を真ん中に定義し、その左側には価値の作り出し方、その右側には価値の提供の仕方、下部にはコスト構造と収益を得る仕組みを描きます。このビジネスモデルにおいて重要となる資源、機能、情報、顧客接点を明確化し、今までと何が異なるのか?を浮き彫りにしてゆくことができます。

図1:ビジネスモデルキャンバス(例)

図1:ビジネスモデルキャンバス(例)

次に、このビジネスモデルに従って変えなければならない事を「組織・制度」、「業務プロセス」、「データ」、「システム」の視点に区別し、それぞれの視点毎に適切な描き方でモデル化します。これらのモデルから、各視点別の” To-Do” が導き出されます。関係者はこの“青写真” をたたき台として、費用対効果や実現可能性を議論します。

図2:ビジネスモデルから導き出される要求のモデル化

図2:ビジネスモデルから導き出される要求のモデル化

事業の変換サイクルを速く継続的にまわすために

新たなビジネスモデルを検討するにあたり、もし貴社の現状が既にモデル化してあれば、同じで良い部分や少しだけ工夫すれば良い部分は現状モデルを再利用することで、検討効率を上げることができます。事業の変革サイクルを速く継続的にまわせることが勝ち残りの条件だとすると、ビジネスモデルを見えるようにして、その変化に伴う” To-Do” がすぐに見出せるようにしておくこと。これがIoTの世界を前にした重要な準備になるのではないでしょうか。

図3:モデルを中心とする改善サイクル

図3:モデルを中心とする改善サイクル

事業の変換サイクルを速く継続的にまわすために

ユニリタはビジネスモデルの描き方に始まり、それに伴う「組織・制度」、「業務プロセス」、「データ」、「システム」の有り方をモデル化し、変革ポイントを明らかにする手法(BPM方法論)をコンサルティングサービスや教育サービスとして提供しています。また、作られたモデルは企業資産として維持管理される必要がありますから、それ専用の機能をそなえた管理ツール(ARIS)も用意しています。

図4:ビジネスモデルのリポジトリツール“ARIS”

図4:ビジネスモデルのリポジトリツール“ARIS”

なぜExcelやVisioで管理するのでは限界があるか? ユニリタのホームページで詳しくご紹介しています。また、モデルの描き方や維持管理プロセスの検討をゼロから試行錯誤するのは骨の折れる仕事です。既に国内でも多くの事例がありますので、まずはお問い合わせ下さい。

最後に、現状プロセスやIT資産の書き起こし、それらの継続的な変更管理にかかる人手不足がネックとなり躊躇されるお客様も多いことから、ユニリタではそれを代行するアウトソーシングサービスも始めています。まずは、お気軽にお声掛け下さい。

BPMのスペシャリスト集団

担当者紹介

冨樫 勝彦

デジタルサービス本部 BPM部 部長
冨樫 勝彦

欧米で主流のTop down な”BPM” 日本で好まれるBottom up な”BPM”
この二つを融合させたいんですよね。
BPM で日本を元気にしたい!と思い立ち15 年目になります。

製品・サービス

BPM(ビジネスプロセスマネジメント)ツール | ARIS

BPM(ビジネスプロセスマネジメント)ツール | ARIS

企業内の戦略・プロセス・ITの整合性を取りながら、 継続的な改善を進めるには、企業資産をより効果的に可視化、分析、共有する必要があります。ARISプラットフォームは、その実現のための方法論(メソッド)と基盤(機能群)を提供します。

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