地方創生 × IT
移動体事業データを活かして「地方創生」
バスをはじめとする移動体や利用者からの膨大なデータとノウハウを組み合わせて地域活性化に活かす
ユニリタグループは、ITを活かした社会課題の解決に挑戦しています。挑戦するテーマは「働き方改革」「地方創生」「一次産業活性化」の3つです。これらのテーマと高い関係性にある業界にフォーカスし、ユニリタグループの強みである「データ活用」を武器に、大量のデータを取得、蓄積し、集約して分析します。その上で最適なモデルの構築、検証を通じて、業界全体の効率化や生産性、利便性の向上、また、業界周辺のマーケットにも新たな価値を提供しようとするものです。この取り組みを「業界特化型事業」として推進し、社会課題の解決へ挑戦しています。
令和元年版の「交通政策白書」
2019年6月25日、令和元年版の「交通政策白書」が閣議決定されました。「交通政策白書」は、2013年11月に制定された「交通政策基本法」に基づき、同法の理念を実現するために、国民の交通手段の現状を報告し、今後の交通政策を提案する内容となっています。同白書は、国土交通省のWebサイトでも公開されています。この白書から地方の交通に関する現状や課題が見えてきます。
冒頭、「平成30(2018)年度交通の動向」と題して、鉄道・自動車・船舶・航空のそれぞれについて、旅客と貨物の両面から報告されています。最初に目につくのは「日本の総人口と年齢構成の推移・予測」の図表です。いわゆる、日本の人口減少の予測にあたります。
人口が減れば、当然ながら交通需要は減ります。減少傾向は地方から顕著になり、2025年以降は、都市部でも顕著になるそうです。人口は減っていくものの、クルマを運転できない「交通弱者」は増えます。短期的な視点で見ると、公共交通の需要は増しますが、その需要に合わせて公共交通インフラを増やすと、2025年以降は余剰になってしまいます。
地域住民を支える路線バスにみる地方交通の行方
地方の百貨店や地方銀行と並んで厳しい経営環境にあるのが「地方の公共交通」です。中でも地方のバス事業者の経営は厳しく、少子高齢化、人口減少によって起きる地域住民にとっての切実な問題といえます。「交通政策白書」によれば、全国の乗合バス事業者の約7割、大都市部以外では約9割の事業者が赤字だそうです。燃料費と人件費の上昇に加え、利用者数の減少や路線の廃止、運行本数の減少といったサービス水準の低下は、各地で急激に進み始めています。
現在、全国の路線バスの合計は約54万kmと言われていますが、毎年約千kmのペースでバス路線が消えているそうです。赤字を理由とした減便・路線廃止のみならず、人手不足により運転手が確保できずに減便、路線廃止をせざるを得ないという状況もあるそうです。また、高齢のドライバーによる事故の増加に伴い、運転免許証の自主返納者も増加しています。高齢者の将来的な不安に「公共交通機関が減ると生活できない」があります。特に、地方の高齢者は、病院や役所あるいは買い物に行くなどの手段に路線バスを利用しているわけですから、地方の公共交通機関の要である路線バスの減便・路線廃止は切実です。
交通の見える化で逆風をはね返す事業者
一方、高齢化や過疎化などの「現代における避けることができない現実」を覆し、利用客数を増やす事業者も増えています。いずれの事業者にも共通していることは、ITを活用して、利用客の不安を解消しつつ利便性を高める取り組みをはじめている点です。
地域に住む人たちの利便性を上げるだけではなく、初めてその土地に訪れる観光客やビジネスマンにもバスを利用してもらうことも視野に入れた取り組みです。地方によっては、海外からの観光客をも取り込み、インバウンド獲得のために、公共交通機関が見直す動きもあります。
乗ることに対する不安を解消する
ユニリタグループの株式会社ユニ・トランドは、十勝バス株式会社(北海道帯広市、代表取締役社長 野村文吾)と北海道大学 情報科学研究科の全面協力のもと、バス利用者の「乗ることに対する不安を解消する」ために、交通系課題解決サービスの開発に着手、2014年4月以降、利用者向けのロケーション検索サービスや、AIが目的地や料金を提案するサイネージから、事業者向けの決済システム、運行ダイヤ編成支援システムなど各種クラウドサービスを次々にリリースしています。
人の移動による大量のデータが街の活性化へ
これらITツールやサービスの導入を契機に、バスをはじめとする移動体や、その利用者からの膨大なデータが寄せられます。このデータを分析し、現場のノウハウと組み合わせることで、地域活性化に有効な取り組みに活かすことができます。例えば、データをもとに最適な路線計画に活かしたり、移動にストレスの無い快適な街づくりの設計に活かしたり、あるいは、公共交通機関の自動運転や効果の高い宣伝や広告に活かすことも可能です。さらに国内で蓄積されたノウハウとデータは、海外展開にも有効です。
ユニリタグループは、バスを皮切りに移動体事業(二次交通)とその利用者に向け、さまざまなITサービスを提供し、寄せられたデータを「地方創生」に活かす、業界特化型事業の構築を進めています。今後、地域の活性化に影響力の高い事業者や学術機関へは、データ駆動型プラットフォームとしての提供も視野に入れ、「地方創生」に関わる社会課題の解決を目指しています。