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【2016年2-3月号】 「攻めのIT」で使われる技術は、情報システム部門でも使えるのか?

本マガジンの読者の多くは、情報システム部門に属している方々かと思います。以前のコラム( ユニリタマガジン10 月号『コスト部門からの脱却! 情報システムはプロフィット部門に!!』) で解説した通り、情報システム部門は止まることが許されない会計システムや生産管理といった基幹システムに対する「守りと維持のIT」を担っています。この役割は非常に重要であるものの、長い年月をかけてIT 化してきたこともあり、多くの部分において標準化・ルール化が徹底され、安定稼働しているのが現状です。情報システム部門が担う基幹システムは、安心・安定で最適なコストによる継続稼働が大きなテーマです。このテーマが大きいが故に、新しいことへの取り組みに対しネガティブになる傾向も強く、維持と管理に集中してしまい、結果的にコスト部門と見られるケースが多くなっています。

このような情報システム部門の状況とは逆に、他の事業部門やマーケティング部門などは最新のIT を積極採用することでビジネスにイノベーションを起こし、新たな成果を出し始めています。企業が売上や利益を増加させるためにIT を活用し、ビジネスにイノベーションを起こす取り組みを経済産業省も「攻めのIT」と定義しています。本コラムでは、前回に引き続き「攻めのIT」を詳解するとともに、「情報システム部門での利用」を考察していきたいと思います。

利用技術の移り変わり

情報システム部門と、「攻めのIT」に取り組む部門は分離している企業が大半です。詳細は前回のコラムで解説していますが、守るために必要なITと、攻めていくために必要なITでは、根本的に求める機能や性質が異なるところに起因しています。この分離は企業から見れば決して好ましい状況ではありません。

メインフレームの時代からクライアントサーバ型へと変化した90年代によく似た状況のように感じます。当時の情報システム部門は、メインフレーム技術者中心の組織でした。クライアントサーバ技術は90年代前半に出てきていたものの、OSの違いやハードウェアの可用性など、情報システム部門の特に運用部門ではネガティブな反応が多い状況でした。しかし、情報システム部の中でも開発に携わる部門では、メーカーやベンダーと協力し、操作性の向上やPC普及に伴うインターフェースの改善など、積極的に新しい技術を採用し、各種システムを構築してきた歴史が存在します。

この時代から、情報システム部の中で「開発」と「運用」の分離が始まりました。開発は新しい技術で新しいシステムを作るものの、運用が既存の標準化やルールに合わないため受け入れない。最終的には基幹システムの刷新というタイミングで、周辺系の仕組みも含めて標準化され、新しい技術へと統合された流れは、現在の情報システム部門と事業部門の双方で異なるITを活用している事に似ているように感じます。このようなテクノロジーの変化をベースに組織と利用技術の移り変わりを整理したのが図1となります。

スモールスタートの手法で課題を解決

情報システム部門は継続的なコスト削減も大きな役割として担っています。企業を支える重要かつ大規模な基幹システムは、システムの大きさに比例して莫大なコストも存在しています。安心と安定を継続していくためには、メーカーやベンダーによる保守は必要不可欠なものの、機能や技術が一般化したものは歴史的な技術の変化の中で、より良く安価なものへと見直されています。

近年ではサーバ監視製品の高額な保守費用をオープンソース(以下、OSS)へと変更することで、大きくコスト削減を実現した事例が増加しています。ユニリタでもジョブ管理製品の「A-AUTO」にOSSの監視製品である「Zabbix」を組合せ、お客様のコスト削減を支援するサービスを提供しています。

OSSのサーバ監視製品はエンタープライズでの採用実績も増加しており、基幹システムのアプリケーションを変更するような影響もありません。極めて低いリスクでリプレイスが可能であり、且つ、OSSのためライセンス無償、サポートも複数ベンダーがサービスとして提供しています。ローコストで短期に試してみて、効果が確認できたらスケールアウトする。この様な流れ(図2)は、「攻めのIT」で取り組まれるスモールスタートの一般的な手法です。情報システム部門においても、サーバ監視製品のコスト見直しにおける製品リプレイスでは、このような最新技術と取り組みによって成果を出し始めています。

新しい技術を目的に合わせ効果的に活用

今回のテーマである「攻めのITで使われる技術の情報システム部による効果的な利用」を考えると、2つの利用が存在すると考えます。そのうちの1つは、前章のような情報システム部門の課題解決に利用することです。

2つ目は、事業部門のコア事業によって売上や利益拡大を実現するIT、つまり「攻めのIT」そのものです。多くのエンタープライズ企業では、事業部門が必要とするIT化に対し、情報システム部門が関わらないケースがほとんどです。理由は、長いこと担ってきた基幹システムを中心とする標準化やルールが適応できない新たなテクノロジーが求められているためです。

事業部門の希望を情報システム部門が実現してあげることはできないでしょうか?もちろん、既存の基幹システムに対する守りと維持の役割を放棄することはできません。2~3 名くらいの人員の役割を変更し、IT のプロである情報システム部門からプロジェクトメンバーを選出、「攻めのIT」で利用が拡大する技術をベースに、事業部門が実現したいことをクラウド、OSS、SaaSなどで開発することはできないでしょうか?そもそも、情報システム部門とは、企業の戦略や課題に対しITを用いて業務プロセスをイノベーティブに改善することが役割であったはずです。事業部門から「販売促進に向けて新たなWebの仕組みを構築したい」、「会員サイトも構築し利用者へダイレクトに情報をレコメンドして売上増加へとつなげたい」と相談されたらどうでしょうか?基幹システム培ったルールを適応しますか?そうれでは使われないシステムになるだけだと考えます。

「攻めのIT」で利用が一般化し多くの成果が確認され始めている事例パターンを1つご紹介します。BtoCやBtoBtoCの企業において事業部門が担当する商材やマーケティングによる売上拡大は本業における重要な課題です。これらの課題へ最新のITを活用したローリスク、ローコストでの取り組みが増加しています。購買や利用の情報をWebシステムからログとして継続的に収集したいのでFluentdを使う。収集したデータは蓄積して分析したいのでElasticserchに格納する。格納したデータをkibanaで簡易的に見える化する。成果が確認できたら基幹の顧客情報と連携したいのでGoCutoを活用してAPI経由で連携する。Fluentd、Elasticserch、kibana、GoCuto、いずれもOSSとして提供され無償で利用可能なツールです。

用語解説

 OSSツール  
GoCuto
(ゴーキュート)
ユニリタが開発し提供するプロセス連携制御ツール。クラウドのインスタンス間、クラウドとオンプレミス間などにおいて発生するプロセス連携をダイナミックに実現。
 Fluentd
(フルエントディー)
トレジャーデータが開発し提供するログ転送と集約を実現するツール。Webシステムや攻めのIT において数多く利用されている。 
 Elasticserch
(エラスティックサーチ)
Elasticserch 社が開発し提供するログやデータの分析を実現するための全文検索エンジン。Fluentd による収集の格納先として数多く利用されている。 
Kibana
(キバナ)
Elasctiserch 社が開発し提供するログデータの可視化を実現するためのツール。Elasticserch との組合せによる連携にてログデータなどから簡単にグラフ化などが可能。
Docker
(ドッカー)
Docker 社が開発し提供するコンテナ型の仮想化を実現するためのツール。新たな仮想化技術として注目されるコンテナの利用において高い注目が集まっているツール。

商用ツールでも実現可能です。しかし、サポートの有無を除きおよそ全てのことはOSSで実現できます。OSSはダウンロードすればいつでも使いたい時に、使いたいだけ、無償利用できます。同じことを商用ツールで実現しようとすると、見積もりが必要となり、時間もかかり、大きな費用も発生します。商用ツールの選択は成果が出ることが確認できてからで良いのではないでしょうか?重要なのはいち早く課題へと取り組み、ローコスト、ローリスクにて成果を確かめ、成果が確認できたところで一気にスケールアウトすることではないでしょうか?このような取り組みは、「攻めのIT」において普通に行われています。しかし、実際に取り組んでいるのは情報システム部門ではなく、事業部門が相談する外部のインテグレータであるケースがほとんどです。このように利用が一般化し始めた技術に対してはOSSであっても情報システム部門がイニシアティブをもって技術を吸収し、企業のコア事業へと貢献する役割へと変化することはできないでしょうか?

ユニリタでも新しい技術を積極的に採用し、OSSツールのGoCutoをリリースしました。GoCutoはクラウド上の複数インスタンス間、OS間を簡単にプロセス連携し、先進的な技術を組み合わせてひとつのサービスとして利用することを可能にします。近い将来、仮想化の主流がコンテナへと変化しますが、DockerとGoCutoを組合せることで複数のコンテナ間の連携も簡単に実現できます。その他、各社での開発が進むSoEの仕組みとSoRを連携するなど効果的な用途が拡がります。コスト部門と言われて久しい情報システム部門ですが、このタイミングで企業の売上と利益を作り出すプロフィット部門へと変革することをユニリタがお手伝いいたします。

担当者紹介

野村 剛一

執行役員 
プロダクト事業本部 新自動化グループ長
結城 淳

エンタープライズにおける積極的なオープンソースの活用を支援いたします。

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