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日本に浸透しやすいBPMのかたち ~日本ではなぜBPMを始めるのが難しいのか、続けていけないのか?~

BPM(ビジネスプロセスマネジメント)という概念が一般的になってから、かれこれ20年以上経ちます。業務プロセスを企業資産と捉えて継続的に維持管理する事の重要性に異論を唱える人は稀です。この企業資産の登録、変更、分析、活用に特化した、いわゆるBPMツールも進化し、十分な機能が提供されるようになりました。IoT活用のためにはBPMが前提条件になるといった意見も珍しくなくなりつつあります。しかし、欧米に比べて日本ではイマイチ、BPMは流行りませんね。

日本には何か根本的に異なる事情があるに違いありません。今回はできるだけ多くの日本企業がBPMによる利益を享受できるように、あえて従来の定石とは異なるアプローチを提起してみたいと思います。

欧米流のBPM

欧米企業のBPMはトップダウンです。プロセスオーナー制度というものがあり、業務プロセスの可視化、改善、運用評価の責任を取る人が明確に決められ、この活動を支援するための専門組織(BPMコンピテンスセンターなどと呼ばれます)がIT部門にあり、CIOがそのサービスレベルを事業側の役員と握っています。

この仕組みはERPなどのシステム再構築やグローバル展開に使われるだけでなく、ビジネス側の各事業部が中期計画、年度計画の中で掲げる事業戦略上の施策、例えば「顧客接点の強化」や「製品の市場投入リードタイム短縮」などのテーマに対しても、現状の共通理解や課題の所在の明確化のために、当たり前のように利用されます。BPMはシステム導入プロジェクトの品質や効率を上げる手法というよりも、恒常的な経営ツールの一つとして根付いています。

日本には向いていない?

多くの日本企業にはこれが真似できません。「コストがかかり過ぎるから」というのが本音だと思います。欧米は多人種、多民族、多言語の世界ですから経営層の方針を現場の末端に落とすためにはプロセスレベルまで、事細かに指示してやらないと徹底することができません。

やらざるを得ないという事情があるので、それにかかるコストが正当化しやすいのでしょう。BPMツールなんていう物がなかった時代から、業務プロセスを管理するためにコストをかけてきたのです。しかし、日本ではそこまでしなくても方針を現場に落とすことは可能です。言われる前に動ける優秀な個人が現場を引っ張っているからです。日本においては業務プロセスを管理するという事自体が必要のなかった事、追加コストなのです。

やらざるを得ないという事情が存在せず、その上、今までにないコストがかかるという点が、日本の経営層が全社的なBPMの採用に踏み切れない大きな要因なのだろうと思います。補足しますが、日本にもトップダウンで全社的なBPMに取り組んでいる企業は存在します。

本稿はそれができない大多数の企業のために書いています。トップダウンアプローチは定石です。トップダウンができるのなら、それが最も効率的で効果的であることに間違いはありません。

日本に適したアプローチ

そもそもBPMとはどういう活動のことを指すのでしょうか。日本BPM協会が定義しています。BPMとは業務プロセスのPDCAサイクルを回して業務の成果を上げること。現場の実態に即した仕事のやり方を可視化し、自ら設計・適用・評価しながら継続的に改善してゆくことです。

この定義に立ち返ると、実は日本が誇る「職人の世界」にとても近いことがお分かりかと思います。日々反省を繰り返して技を磨くことについて日本人はある種の美学を感じます。ただ少し違うのは、その経験を暗黙知のまま伝承するのではなく、形式知として組織に還元し、全体最適の視点から調整を施すという点です。(図1参照)

日本に適したアプローチ

始めからツールはいらない

話が逸れますが、高級なBPMツール(描いたプロセスがITの実装に繋がり、ワークフローの自動化やKPIの自動収集まで実現できる仕組み)を導入しても、申請・承認プロセスの一部でしか使われなかったり、ツールの保守運用コストを回収できないとして、ほどなく止めてしまうケースに比較すれば、紙や白板に現状の業務プロセスを描き、関係者間で課題と対策を議論し、そこで決まったことを“施策定義書” としてWordなどでドキュメント化して現場に展開する。その結果をまた翌月の会議で白板を前にして討論する、といった活動の方がよっぽど堅実なBPMだと言えます。

一部には、ワークフローシステムを実装しやすい業務を見つけ、BPMツールを活用することがBPMだと誤解されてしまっている事例があります。ツールは必要ですが、身の丈に応じて使い始め、設え直してゆくものだと思います。

回し続けることが第一

改善によって生まれる暗黙知を形式知化し、蓄積・共有すれば、改善サイクルのスピードと効率性が上がるだろう、という事がBPMの本質です。ナレッジ管理にも近い話かもしれません。先日、囲碁で人間に勝利したGoogleのAlphaGoは、約3000万におよぶ過去のトップ棋士による囲碁の打ち方(これはまさにプロセスです)を学び、さらに機械同士を対戦させて学習を深め、名人を上回るスキルを得たそうです。 この例をすぐに業務の世界に当てはめるのは単純過ぎるかもしれませんが、業務領域によってはAIが人の仕事をリアルタイムにガイドしてくれる日はそれほど遠くないでしょう。

機械にでもわかるように形式知化しておく事が、将来さまざまな形で事業の差別化につながるのではないかと想像します。

回し続けることが第一

将来への展望

将来への展望

Google AlphaGo が 囲碁名人を破る、2020 年の自動運転の実用化など、AI のめまぐるしい進歩と未来に期待が高まっています。また、クラウド上でのMachine Learning ( 機械学習) プラットフォームやオープンソースなど、機械学習に対する敷居が低くなり、各企業でも業務への適用などを試行錯誤しているものと思います。

しかしながら、ネット上に毎日のように出てくるケーススタディに、一昔前のビッグデータ事例と同様の既視感を覚えてしまいます。すなわち、「自社の業務にどのように適用できるのかよくわからない」というのが現実ではないでしょうか。今回は、現時点でのエンタープライズ業務における、機械学習の現実と、その使い道について考察します。

まとめ

さて、ユニリタは皆様の業務プロセスを形式知化するお手伝いをしています。業務フロー1本におけるPDCAの回し方から、企業レベルでのBPMに至るまで、教育、コーチング、コンサルティングをご提供することができます。「ARIS」というBPMツールを販売もしておりますが、これは全社的にやると覚悟を決めた企業、または利用範囲が徐々に広がってきた企業向け(図2で言えば部門間をまたがるBPM以降のレベル)です。

もし、それはまだToo Muchだとお考えになるならば、我々はそのニーズにこそ応えたいと思っています。どのように着手し、どのように進めるべきか、いっしょに考えさせて頂きます。ご相談をお待ちしております。

【告知】ユニリタBPMコミュニティ(仮称)発足のお知らせ

BPM で日本を元気に! 日本流のBPM のありかたを考え、実践事例を共有し、真の効果を生み出そうとする同志を求めます。ユニリタはその声に沿い、サービス改善に取り組んで参ります。まずはFacebook によるコミュニティー作りから。フォローをお待ちしております。

https://www.facebook.com/uniritabpm

担当者紹介

新ビジネス本部 BPM部 部長
冨樫 勝彦

欧米で主流のTop down な”BPM”日本で好まれるBottom up な”BPM”この二つを融合させたいんですよね。BPM で日本を元気にしたい!と思い立ち15 年目になります。

製品・サービス

プロセス連携・制御を実現するOSS | GoCuto

BPM(ビジネスプロセスマネジメント)ツール | ARIS

企業内の戦略・プロセス・ITの整合性を取りながら、 継続的な改善を進めるには、企業資産をより効果的に可視化、分析、共有する必要があります。ARISプラットフォームは、その実現のための方法論(メソッド)と基盤(機能群)を提供します。

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