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【2016年7月号】 事業部主導のデジタルビジネスを加速させるITサービスマネジメント

2016 年はデジタルビジネスの取り組みが活発になると予測されています(デジタルビジネス:IT を活用して既存のビジネスモデルを変革すること)。身近な例でいえば、Amazon やiTunes、スマホゲームアプリなどが、既にデジタルビジネスによって大きな成功を収めているケースとなります。こうした事例に続き、いかにモバイル・ウェアラブル・クラウド・IoT といった技術を活用して自社ビジネスを変革させるかが、企業の重要なテーマとなっています。今号では、このデジタルビジネスを加速させるための方法論とサービスをご紹介したいと思います。

事業部主導で進むデジタルビジネスの立ち上げ

デジタルビジネスに取り組むには、IT活用が大前提となります。しかし、実際の取り組み事例を見ると、IT部門を通さずに事業部が主体となり、直接ITベンダーやITベンチャーと組んで事業を立ち上げるケースが珍しくありません。

一 般的には、事業の立上期にはなるべく大きな投資をせずにスモールスタートし、成長のスピードに応じてスケールを拡張することが望まれます。また、多少未成 熟であったとしても、事業の差別化のためには最新のIT技術を取り入れることが必要です。このような理由から、デジタルビジネスに取り組む際には最新技術 やパブリッククラウド、OSS(オープンソースソフトウェア)の活用が好まれます。しかし、基幹系システムの運用・保守を主業務としているIT部門は、こ ういったテクノロジーの領域に馴染みがなく、また適用されているガバナンスがデジタルビジネスのスピードに合わないことも多いです。このような場合、事業 部が主体となって独自にIT機能を持ち、上記技術に明るいITベンダーやITベンチャーと取り組んで、まずは事業を軌道に乗せて成果を出すという手段も考 えられます。

事業が成長するにつれて増大する運用の負荷

立上期は左記の方針でも問題ないのですが、事業が順調に成長すればするほど、運用業務の悩みが顕在化します。事業の成長・拡大に合わせて、ITの運用面での課題が急速に大きくなるのが、ITがビジネスと融合しているデジタルビジネスの特徴となっています。

デジタルビジネスの場合、事業が成功してサービスの需要が増えれば増えるほど、日々のトランザクション数やアクセス数も爆発的に増加します。これに対応するため、頻繁にITインフラの増強やアップグレード対応を行いますが、それに比例してその後の日々のオペレーションや保守対応も増加します。

また、デジタルビジネスは立ち上がってからも継続的に改善を行うアジャイル型の運用となります。事業の差別化のため、毎週のように新機能追加や機能強化の開発・変更・リリースを行うことになります。これを繰り返した結果、システム規模はみるみる拡大し、同時に複雑化も進みます。結果的に担当業務は細分化し、様々な技術が部分最適に活用され、属人化が進みます。

さらに、個別のサブシステムごとに異なるベンダーに開発・保守を委託している場合、システム間をまたがる問題が発生した際には常に社員が間に入って調整をすることになります。しかし、システムが複雑化し業務の属人化が進めば進むほど、全体を理解できる人が減るため、トラブルが多発することや、復旧に多くの時間と工数を要するようになります。

このような事態に直面すると、全体でのナレッジ共有の必要性が顕在化します。しかし、担当者やベンダーに依存した部分最適な運用プロセスやルール、あるいはツールが一度定着してしまうと、情報共有も簡単ではありません。この様な状態で情報共有のための仕組みを用意しても管理工数が膨らむことになり、結果的に定着せず形骸化してしまいがちです。

これらの問題が積み重なると、デジタルビジネスの運用の有効性・効率性は大きく低下します。運用業務に多くの工数を取られることが日常的になり、思うように機能の追加や改善、新サービスの開発も進まなくなります。

ここまでくると、運用業務の見直しのタイミングです。事業の成長・拡大を支えるためのスピードと柔軟性を確保するには、ITサービスマネジメント(ビジネスの需要に適したITサービスを効率よく提供および管理するための方法論)を取り入れたプロセス標準化・最適化を行い、業務効率化を推進することが重要となります。

事業が成熟するにつれて 必要となるマネジメント強化

事業の成長期を経て、市場自体が成熟化すると、競争が激化します。市場のパイがこれ以上増えない中で各社がシェアを奪い合うため、差別化のための開発や投資コストが増大し始めます。例えば、スマホゲームアプリの平均開発コストは、立ち上げ当初の5千万円から、現在では2億円にまで膨らんでいると言われます(ユニリタ調べ)。こうなると、いかに高生産性・高収益率を誇っていたデジタルビジネスでも、簡単には利益が出なくなります。

この段階になると、日々の業務を効率化することも引き続き重要ですが、それに加えて今まで考えられていなかった経営視点のマネジメントを強化することを推奨します。開発面については、リリースの遅れによる機会損失や競争力低下を防ぐために、プロジェクトにおける漏れや取りこぼしを極力なくすことがこれまで以上にシビアに求められます。市場に求められるスピードを確保するため、リソース管理やスケジュール管理などのプロジェクト管理について、担当者に任せっきりにするのではなく、全体で管理・統制を行うことがポイントとなります。

運用面については、ITサービスマネジメントの取り組みがますます重要となります。事業の成長期では要求実現やインシデント管理、問題管理、構成管理など、現場の業務効率化につながる領域が中心になります。しかし、成熟期になると、確実に数字を管理し、ITサービスのパフォーマンスを改善し続け、利益を創出するためのマネジメント改革が求められます。ビジネスの需要や売上に対して適切なITコストを保つためのITサービス財務管理や、外部委託している業務のパフォーマンスとコストの妥当性を評価・改善し続けるためのサプライヤ管理などが必要となります。

デジタルビジネスにおける ITサービスマネジメントの取り組み方法

昨今のビジネススピードは速く、デジタルビジネスのライフサイクルもあっという間に変化します。立ち上げから成熟化までわずか5年というケースも普 通です。先を見据えてしっかりと準備を行い、プロアクティブに対策を行うことが、デジタルビジネスのパフォーマンス向上に結びつきます。

ユ ニリタグループは、ITサービスマネジメントのスキルトレーニングから、事業戦略に合致したプロセス改革の実行(BPR)、標準ITサービスマネジメント ツール(LMIS)の導入による業務効率化・マネジメント強化の実現まで、一気通貫でご支援するノウハウと実績があります。デジタルビジネスを実践する企業にお けるITサービスマネジメントの普及や、その仕組みの定着化を図り、お客様のビジネス競争力向上に貢献することをユニリタグループは目指します。

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担当者紹介

株式会社ビーエスピーソリューションズ
デジタルビジネス/ITSMコンサルタント
河村 拓

アメリカ合衆国カルフォルニア州生まれ。慶応大学総合政策学部を卒業し、2009 年4 月に株式会社ビーエスピー(現株式会社ユニリタ)に入社。2012 年4 月、株式会社ビーエスピーソリューションズに転籍。以後、IT コンサルタントとして、ITIL® を活用したデジタルビジネスの運営業務プロセス改革(BPR)や、ISO20000 の認証取得支援、IT 部門向けスキル標準の導入などのプロジェクトにおいて、提案から設計、実装までをワンストップで担当。

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