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ワークスタイルの変革に寄与するITシステムとは データドリブンなサービス創出のアプローチ

生産年齢人口の減少、グローバル化などをきっかけに「ワークスタイル変革」が取り上げられるようになって久しいですが、現場の働き方を変えていくことは非常に困難です。まずは、IT システムから変えていくというアプローチが、ワークスタイルの変革に寄与することができると考えられています。「顧客からのリクエストを待つという『リアクティブ』な対応に追われるワークスタイルから、確かなデータに基づき、顧客に感動や喜びを与えられる『プロアクティブ』なワークスタイルに変革する。」今回は、そんなIT システムのあり方をご紹介します。

今あるものを「つなぐ」

ビジネスを支えるITシステムは、さまざまな機能が複雑に関係し合っています。 そんな中、顧客に対してサービスを提供する事業部門は、変化の激しいビジネスニーズに応えようと、現場で利用するツールややり方を工夫して、変化に対応しています。

この時に問題となるのが、柔軟・迅速に変更することができないITシステムと、現場業務のプロセスとの「スキマ」を埋めるために、担当者が手作業を次々に増やしてしまうことです。これが続くと、変更されたプロセスを継続していくために、増えた作業工程が担当者の負担として積み上がってしまいます。

現場でよく見られるケースが、ITシステムの「仕様」に縛られて、Aシステムから受けたデータ(帳票)を顧客向けに加工したうえで、さらに後工程のBシステム向けのフォーマットに変更を加えて処理しています。業務の担当者は、この時はこれが最速、最善の対応だと信じて実施しています。問題は、この対応が以降、何百回と繰り返されてしまうことです。(図1参照)

では、なぜこのようなことが起きるのでしょうか。

業務担当者にヒアリングすると、「お客様のため、現状では最適だと思った」と言います。この考えの前提に、「ITシステムは今の仕様・操作から柔軟・迅速に変更できないもの」という思い込みと諦めが存在しています。実際、パッケージ化されたシステムを業務に合わせるために個別のカスタマイズを加えることは時間と手間、そして費用がかかるため嫌われます。この背景が、業務担当者に、「諦め」を持たせてしまっています。このような、業務プロセス上の「スキマ」はいたるところに存在します。これらの積み重ねによって、業務担当者の負担が増えていきます。

そこで、この問題を迅速に解消するために、各業務のシステム、アプリケーションは現状のまま稼働させて、「つなぐ」機能だけを追加する対応を行うことで、短期間、かつ、最低限の影響のみで「スキマ」を埋めることができます。

システムのサービス化

サービス指向アーキテクチャ(以下、SOA)に基づいた取り組みにより、システム間をつなぎ、業務プロセスのスキマを埋めるための部品をサービスという機能単位で揃えて利用していくことで、変化に対して柔軟・迅速に対応する力を持ったビジネス基盤を持つことが可能になります。SOAの実現によって、以下のようなメリットを享受することができます。

 ・システムの改修コスト、期間の削減
 ・変更リスクの極小化

クラウドサービスとの連携機能も1つのサービスと定義し、新しい試みにも迅速、かつ、柔軟に対応する事が可能になります。

SOAの定義そのものは正しいですが、かつて難解な定義や技法を用いることに縛られたために、SOAの実現に苦慮するケースも多数ありました。こうした変遷もありましたが、現在はシステムの「サービス化」について、その意義が見直されています。

マイクロサービスとSOA

最近、マイクロサービスという言葉をよく耳にするようになりました。その名が示す通り、大きなシステムをサービス単位に分割する際、サービスをより小さく、かつ、1つの役割に専念する状態に分割する事で、自律的サービスを取り回しやすいサイズに保つという概念です。マイクロサービスは、昨今のクラウドおよびサーバレスアーキテクチャの拡大・普及を背景に登場しました。この概念が指し示す方向性は、先述したSOAと比べ、具体性が高く、よりシンプルな実践方法となります。(図2参照)

技術者にとって、SOA実現のために現実的で、より理解が容易な方法の1つがマイクロサービスと言えます 。新しい技術に柔軟に対応できるシステムを確立することが、SOAの目的の1つでした。実際、マイクロサービスとSOAの目的は同じです。マイクロサービス手法の上位概念がSOAと考えて差し支えありません。

SOAはシステム設計のための技法であり、マイクロサービスはSOA実現に対する技術的側面にフォーカスしています。マイクロサービスにより、明確な目的と具体的な実践方法がもたらされたことで、まさにSOA推進への合意が形成されたと言えます。

ビジネスの原則に見合った組織構成とシステム

システムは、それを使うのが人間である以上、人間および人間が所属する組織に無理のないアーキテクチャでなければなりません。アーキテクチャと人間の関係性は「コンウェイの法則」が示しています。コンウェイの法則とは、アーキテクチャ構造は組織のコミュニケーション構造に従うという法則です。

ビジネスが変わるにつれて組織の構造も変わります。組織とシステムとが一致していないと、組織間の緊張関係など、さまざまな阻害要因が生じます。ビジネスの変化に即応できる組織を作るためにも、コンウェイの法則にならい、柔軟に対応できるサービス指向をもったアーキテクチャで構築されたシステムが必要です。システムが適切に分割された状態であれば、 サービス同士を新しい組合せでつなぎ合わせる事が容易になるため、組織構造とシステムが整合し、サービス分割による柔軟性が組織変更への対応力となり、ビジネスにスピード感が生まれます。

マイクロサービス手法により実現されるSOAは、その目的が示す通り、ビジネスの変化に即応性をあたえます。Amazonは、システムのサービス化を推進することで、ビジネスを加速させ、更にサービスを製品として販売するプラットフォームとなる、AWS(AmazonWeb Services)を誕生させました。

ビジネスに革新をもたらすサービス連携基盤

サービス指向をもったシステムを構築する際、サービス同士の組合せと協調動作を取り成すサービス間連携が重要です。サービス連携は、サービス同士がメッセージ(データ)をやり取りする事で行われます。クラウドサービスの多くは、サービス連携に活用できるHTTP REST※方式のAPIを公開しています。

※HTTP RESTは、WEBにアクセスする際のアドレスに対し、振る舞いを与えて、アドレス毎に所定のデータを返却するという仕組み

社内外のあらゆるサービス、業務データへのアクセスをこのHTTP RESTをはじめとする適切な連携方式を用いることで、ビジネスのスピードと広がりは一気に加速します。社内システムと外部サービスという垣根を超えてやり取りされるデータは、ビジネスを変える大きな可能性を持っています。

例えば、製造業であれば以下の様なデータが考えられます。
 ①販売代理店の持つ顧客の購買履歴
 ②サービスセンターの持つ故障情報

この2つを紐づけ、分析することで、地域や利用環境、用途による故障回数や製品寿命の傾向を把握・予測して、判断を行うことができるようになります。また、顧客からのリクエストを待たずして、予見・予兆することで顧客への主体的な提案活動が可能になります。

これは、顧客自身の持つビジネスの機会損失やパフォーマンス低下を未然に防ぐことになり、顧客満足度の維持向上に大いに貢献するでしょう。また、自社が気付かないところで顧客が他社製品に乗り換えていたり、営業担当が顧客から見積りや納品を急がされ、催促されながら業務を遂行したりするといったリアクティブな業務現場のワークスタイルを変えることにもなります。つまり、データドリブンな仕組みを構築することが、「ワークスタイル変革」を実現するアプローチとして有効となります。

ユニリタの持つ業務やシステムに関わるさまざまな知見・技術を基に以下の項目を実践することで、お客様のビジネスやワークスタイルに変革をもたらすITシステムへと変えることができます。
①既存業務のアプリケーションには手を入れず、システム間を「つなぐ」
②業務上のプロセス分断を特定して、「スキマ」を埋める
③サービス連携の過程で蓄積されるデータの分析・活用
④予兆検知によるデータドリブンな業務推進

まとめ

ここまで、システムや組織のあるべき姿への変革を支援する、ユニリタが提案するサービス連携基盤との関連性について述べてきました。 システムのサービス化とデータ分析、活用の推進により、ビジネスは加速し、そのスピードはビジネスに変革をもたらします。

ユニリタはシステムに関わるあらゆる人々の働き方を変えるコンサルティングやサービスを提供しています。

是非、弊社に貴社のビジネスとワークスタイルの変革をお任せください。

担当者紹介

営業本部 
セールスエンジニア

海老原 剛

メインフレームのオペレータから始まり、ITシステム運用のさまざまな現場業務を通じ、特に物流業務と帳票製品に関わる設計、開発、サポート、運用に永く従事してきました。これからもお客様のビジネス変革に寄与する提案をしてまいります。

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