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デジタルトランスフォーメーションに 必要な技術とは? Vol. 3 ~さまざまなサービスをつなぎ合わせて新しい価値を創る~

APIエコノミー

APIエコノミーやマイクロサービスなど、昨今のクラウドサービスはお互いが緩やかに連携し合うことにより、エコシステムを形成し価値を創造するやり方が受け入れられています。企業は1社で基礎技術から応用技術を全て取り込む従来のR&Dスタイルから、大学や異業種との協業によるオープンイノベーションをリーンスタイルで行う方法へと変革されてきています。

ソフトウェアのコンポーネントアーキテクチャ

マイクロサービスの話が出てくると、多くの人はSOAと何が違うかなどの疑問を持つことでしょう。ある意味、サービスの部品化ということでは、期待される効果は同じかもしれませんが、明らかに違う点があります。まずは、ソフトウェアの部品化の歴史を振り返ることにします。

コンポーネントアーキテクチャ

部品化の仕様はこれまでにもいくつか提案されてきました。ある意味、ソフトウェアの部品化は、ソフトウェアエンジニアリングにおける永遠のテーマの様に思われます。1990年までのソフトウェアはほとんどが手続き型の言語を利用して作られていました。手続き型言語においてプログラマはプログラムの共通化をサブプログラムという形で実装していました。しかし、データとそのデータを操作するプログラムが1つのサブプログラムで構成されるこのやり方では、多くの場合よく似たプログラムがあちらこちらに散らばる結果となりました。

1990 年代に入り、Windows の出現とともにオブジェクト指向型の言語が広まりました。オブジェクト指向はクラスとオブジェクトの関係で、データとそのデータを操作するプログラムを分離することができるようになりました。ソフトウェアエンジニアリングとしては大きな一歩であったのですが、オープン型のシステムがポピュラーとなり、ネットワーク時代がやってきて、さまざまなシステムでは同一メモリ領域にはないプログラムを呼び出す必要性が出てきました。そこで登場したのが、RPC でした。マイクロソフトのDCOM や、OMG のCORBA は同一ネットワークの別のコンピュータ上のプログラムをあたかも同一コンピュータ上にあるプログラムのように呼び出すことができました。しかし、DCOMとCORBA は同じ仕様の中でしか呼びあうことができなかったため、お互いの陣営が仲間を呼び込み、競争してしまいました。

SOA、Web Servicesの時代はDCOMとCOBRAの反省から、インターオペラビリティ(相互運用性)の問題を解決しようと仕様の作成をしました。2000年頃から始まった、このサービス指向の時代は、ベンダ同士がどうやって繋がるかを仕様としてまとめることに躍起になっていたのです。そのため、Web Servicesの仕様は大きく膨れ上がり、全てを満たせるミドルウェアを開発できるのは、結局大手ベンダしかいなく、ベンチャー企業や小さな企業は取り残されていき、その技術を採用できる企業もエンタープライズの大手企業のみとなりました。

マイクロサービスの時代に

インターネットでさまざまなサービスを利用するニーズは、大手ベンダから発生したものではなく、コンシューマ向けのサービスを提供しているサービス事業者やそのサービス開発者から発生してきました。クラウド型のサービスは利用者と開発者がダイレクトに繋がる仕組みでもあり、利用者は使いにくいシステムは使わず、使いやすいシステムのみを使うため、サービス開発者も常に改善を繰り返さなければなりませんでした(参考:2016年4月号~クラウドサービスは「まことに日に新たなり」~)。それに加えて、サービスの提供はリーンで始めなければなりませんでした。そのため、クラウドサービスを提供することを考えている開発者たちは、

  1. インフラは持たない
  2. できるだけ作らずに済む方法を考える

という2点を大事にしています。

こういう環境の中で生まれ育ってきたのがマイクロサービスです。ある意味、マイクロサービスは必要に迫られたサービス開発者やサービス事業者が主体となって、疎結合、かつ、RESTfulなサービスとして開発されたもので、これまでのベンダ主導の仕様とは大きく違い、「それぞれの役割が分離されて他のコンポーネントの仕様に自社のサービスが影響を受けない」ところがポイントでした。SOAやDCOM/CORBAと違い軽量でかつシンプルな連携仕様が特徴です。

つなぎ合わせのイノベーション

企業では、これまでのように1社で基礎研究と応用研究を行い、製品化するという考え方から、他の研究機関や異業種の協業から生まれるイノベーションが重要という考え方に変わってきています。

その1つとして、製造業とIT企業が協業して、クラウドに接続された製品をサービスとして提供し始めています。このような時代において、ITにも柔軟性が求められており、ハードウェアよりもソフトウェアの価値が向上してきていること、インフラもソフトウェア化してきていることにより、Immutable Infrastructureの必要性が増してきています。

他社との協業を加速するためには自社のサービスをマイクロサービスとして定義し、あらゆる会社のサービスから利用できるようにすることが必要です。銀行の決済システム、バスの運行システム、旅行会社の予約システム、電力会社の料金システムなど、さまざまなシステムがマイクロサービスで繋がることで、新たな付加価値が生まれます。その付加価値はさらに別の顧客や業界と連携されることでエコシステムが創られることが期待されています。

ユニリタのプラットフォーム

ユニリタでは、スマートフォーメーションサービスのソリューションの1つとして、スマートコミュニケーションプラットフォームを開発しました(下図参照)。スマートコミュニケーションとは、従来のグループウェアやメールのみを利用したコミュニケーションの方法から、SNS、スマホ、動画、IoTなどを活用したコミュニケーションへの変革を言います。いわゆるデジタル時代のコミュニケーションスタイルです。プロジェクトチームなど、同じ人と何度もやりとりする場合は、メールを利用するよりSNSを活用した方が便利です。SNSではあらかじめ、決められた人だけが参照および投稿できる部屋を作って、そこに投稿を行いますので、プロジェクトのメンバーが1人増えれば、その部屋に招待するだけで、これまでの議論を一通り見直すことができます。もし、このようなことをメールでおこなうと、フォワードの嵐となり、フォローアップすることが困難になります。

さらには、IoTやGPSを使った端末を利用することで、ロケーションベースのコミュニケーションが可能です。今、どこにいるのか?そして、その周りにはどのような人がいて、ヘルプをしてくれるのかなど、デジタル時代におけるコミュニケーションは日々変化しています。

スマートコミュニケーションプラットフォームは3つの階層からなります。まずは、アプリケーションのレイヤーです。いわゆるSaaSと呼ばれますが、SaaSは利用者が直接使うものです。従って、一番利用者からのフィードバックが多くなります。この階層で最も重要なのは、利用者の声を聴きながら日々改善していくプロセスです。利用者のユーザインタフェースがどれだけ使いやすものとなっているかを気にしなければなりません。そのためには、それ以外の細かい機能面は他のものを利用しましょう。アプリケーションの階層は開発者がアプリケーションの機能に集中できるように作られています。

2つ目の階層はアプリケーションが利用するマイクロサービスとなります。ユニリタのプラットフォームでは、動画のビットレート変換機能や、ソーシャルファイルの管理機能などが用意されています。

また、ユニリタグループの他のサービスや他社が開発した便利なサービスなど、多くのマイクロサービスが利用できます。この部分の充実はユニリタのパートナー企業様と一緒に提供させていただきますので、アプリケーション開発者はより創造的な開発に集中することができます。

最後はプラットフォームです。プラットフォームの階層では、アプリケーションやマイクロサービスが必要とするインフラ面をサポートします。セキュリティ面でのサポートやアプリケーションやマイクロサービスの管理・配備などはプラットフォームに任せることができるので、アプリケーション開発者やマイクロサービス開発者は自分たちが真に必要とする機能に集中できます。

この3つの階層は家屋の建築でいうと、プラットフォームは土台であり、マイクロサービスはキッチンや浴室のような部品となります。これにより、アプリケーションとなる建売住宅や注文住宅を素早く作ることができます。

このプラットフォームはまだ完成形ではありません。プラットフォームは日々進化していきます。なぜなら「クラウドサービスはまことに日に新たなり」だからです。ユニリタのプラットフォームはアジャイル開発とDevOpsで開発・運用されていますので、お客様の将来の事業に貢献することをお約束します。

担当者紹介

戌亥 稔

執行役員 プロダクト事業本部 Be.Cloudグループ長 
戌亥 稔

クラウド事業を担当している野球とゴルフ好きの2 児の父親です。ゴルフのスコアはあまり良くなりませんが、最近飛距離が伸びました。iPhone は2008 年の3G 発売以降、ずっと使っているガジェット好きの技術者です。

製品・サービス

ワークスタイルの変革をスマートなコミュニケーションで実現する infoScoop SmartxPortal

ワークスタイルの変革をスマートなコミュニケーションで実現する infoScoop SmartxPortal

これまでのテキストやメールだけでは伝わりにくい情報を、音声や動画を使って思いを込めて、また、若い人からベテランまでが興味を持てるよう、まるでスマホでLINEを使っているような感覚で、伝えたいときに伝えたい人に簡単に伝えることができる、そんな新しいコミュニケーションのカタチを実現するための開発アプリケーションです。

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