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ユニリタのスマートフォーメーションサービス第2弾 攻めのITから入るデジタル変革(前編)

8月号のユニリタマガジンではユニリタのスマートフォーメーションサービスの全体像を示しました。攻めのITへの新たなる投資と守りのITの充実が重要であることは、システムに関わる人たちは理解していると思います。デジタル変革の最優先課題は社内外の情報をスムーズに流通させる「インフォメーションフロー」であると言われています。これは血液の循環によく例えられますが、企業のビジネス活動で生まれる「データ」をスムーズに流通させることで、企業のIT環境が活性化します。経営環境が日々変化する中、経営者の目は攻めのITに向いています。デジタル変革によりこれまでのビジネス活動に無縁であった業界が突然競合となり、「インフォメーションフロー」を業界、業種の垣根を超えて実現させなければ、競争に勝てない状況があるからです。

本稿では、そのような経営課題に対応するため、攻めのITから入るデジタル変革について説明し、その上で、ユニリタのソリューションを使った解決策について話を進めます。

経営が攻めのITに目を向ける理由

経営が攻めのITに目を向ける理由

日米の生産性の違いは62:100です。これは公益財団法人日本生産性本部が時間あたりの生産性から計算したものです。また、別の分析では、日本のサービス業の生産性はOECD(経済協力開発機構)加盟国の中で最低レベルであり、イタリアよりも低いと報告されています。このような環境の中で、日本政府は国をあげて働き方改革を行っています。しかしながら、いくら個人の生産性を向上させたとしても、62:100を埋めることは難しいというのが一般的な考えではないでしょうか? ある意見では、日本の生産性が低いのは過度な「おもてなし」をするからであるとも言われ始めています。しかし、良い面を削いでまで生産性を上げても意味がありません。そこで昨今は人工知能やIoTを利用したITドリブンのイノベーションを発生することで、生産性を向上することに経営者の目が向き始めています。

人工知能がもたらすものの本質とは?

人工知能については明確な定義がなく、あたかも人間の代役をしてくれるように受け止められがちです。ドイツ軍の暗号「エニグマ」を解読したことで知られる数学者アラン・チューリングはチューリングテストというものを提案しており、人工知能を次のように定義しています。
「判定者がコンピュータのインプットとアウトプット装置を通じて、隔離されたところにいる(ある)人間と機械それぞれと会話をする。判定者が人間と機械を見分けられない場合、その機械は人工知能といえる」

人工知能がもたらすものの本質とは?

これはコンピュータが出すアウトプットに注目しており、そのアウトプットが限りなく人間の出すアウトプットに近いものが出てきたら、それは「人工知能と呼ぼう」というものです。企業活動にとって期待するコンピュータからのアウトプットというのはなんでしょうか?それは意思決定に他なりません。
今から10年ほど前にデータウェアハウスベンダーであるビーコンインフォメーションテクノロジー(現:ユニリタ)のプライベートセミナーで講演された元産業再生機構の冨山和彦氏は、経営が行う意思決定について次のような話をしていました。
「意思決定に必要な情報が100%集まるまで待っていては決定が遅くなる。7、8割の精度でもいいから、最新の情報をもとに意思決定をしなければならない」といった内容でした。
例えば、営業活動の中から集まってきたデータを見て、売れ筋情報を把握したいと考えた時に、7月の情報を7月31日に締めて、それからデータ連携、データ加工、データ集計を行い、原価計算も含めて収支の情報を8月の末に素晴らしく正確な情報を得られたとします。そして、その情報を9月から使うとすると、既に2ヶ月経ったデータをもとにアクションしますから、そのアクションの結果がどうなったかを検証できるのは、10月末になります。3 ヶ月前のデータをもとにアクションをしてそのアクションの結果がどうなったかを検証する」ことになります。おそらく、経営陣は「そんなデータは役に立たない、私は2 ヶ月前にそのアクションは正しくないということを知っていた。」と言うかもしれません。
先ほどのチューリングテストでは、コンピュータと人間が同じようなアウトプットが出せれば、人工知能と呼ぼうという話でしたが、コンピュータと人間との圧倒的な違いは処理できるデータの量とスピードです。コンピュータは24時間働いてくれますが人間はそうはいきません。データの集計が出てきてから、それを人間が判断しなければならないとなると結局は人間がボトルネックとなってしまいます。
経営者から、「人工知能を活用したい」と言われる理由はここにあります。集計した結果だけを出すだけではなく、このデータから推測した意思決定のリコメンデーションを提供することが重要です。

2.継続的な学習サイクルの確立

継続的な学習サイクルの確立

人間が過去の経験やデータをもとに意思決定をするのと同じように、コンピュータも経験とデータをもとに意思決定をします。
以前、ユニリタが提供しているブログにて、人工知能には演繹法と帰納法があると書いたことがあります。演繹法はルールに基づく人工知能で、数学でいうと定理や定義から答えを導き出す方法です。当たり前ですが、同じルールを適用すれば誰でも同じ答えが出ます。しかし、ルールが間違っていれば、全員間違った結果を導き出します。一方で帰納法はデータからルールを導き出す方法です。
「どうやら、金曜日にオムツとビールが売れるらしい。買っている人を見てみると30代の既婚男性である。しかも、一緒に買っている人が多い。ビールとオムツを並べて置いたら売り上げが上がるのではないか?」
この話はデータウェアハウスの専門家の中では有名な話です。誰も正解かどうかわかりません。しかし、データを分析した結果予測できたわけです。この予測がルールとなり、多くの人は、このルールをもとにアクションを行います。
「もしも、金曜日であれば、オムツの隣にビールを置いて販売すれば売り上げが伸びる」と、コンピュータが店舗の従業員に命令をします。しかし、これらの分析をするためにさまざまなパラメータが入ってくる可能性があります。
例えば、「金曜日であっても気温が20度を下回れば、ビールは売れない」や「気温が20度を下回っていても、駅前のコンビニでは売れて、駅から1km以上離れたコンビニでは売れない」とか。これらはそのような情報があってこそ初めてわかるのであり、気温や販売した場所などが、POSデータと同時に情報としてあがってきて、分析されてこそ初めて、「○○らしい」がわかります。
人間の能力でさまざまなデータを見て推測するには大変時間がかかりますし、人間には憶測が入ってしまい、時には恣意的に結論が作られる可能性があります。故に、Deep Learningを使った人工知能で、それらの分析結果を得るわけです。
正確性は100%ではないが「そうらしい」、「いや多分そうである」、オムツとビールの売り上げには相関関係があるらしい、気温とビール、販売場所etc.。
つまり、意思決定には正確性を重視するものとスピードを重視するものがあることを意識する必要があります。その中で、データは非常に重要な要素であり、データが増えるほど正確性は高まるものの、その分析には時間がかかるということを認識する必要があります。
人間の意思決定は経験というデータをもとに行われているのですが、人間は全てのデータを保持しておくほど記憶領域が大きくないので、それを概念化して覚えます。つまりあるルールを作るのです。一方でDeep Learningはデータをもとに意思決定をします。
「一を聞いて十を知る」は、データをもとにルール化してそのルールに合致するものは全てマッチするやり方です。
一方で「一テラを聞いて十を知る※」は、データだけをもとに判断するやり方です。それゆえに、「インフォメーションフロー」が攻めのITには必要で、そのインフォメーションをためて分析に利用することが重要となります。

※出典:新井紀子 『コンピュータが仕事を奪う』 日本経済新聞出版社  2010年

スマートコミュニケーション プラットフォーム

さて、情報を流通させるためには、あちこちに分散する情報を集めて処理する方法がありますが、ただ集めるだけでは不十分です。精度や鮮度、重要度といった情報の品質にも気を配る必要があります。ユニリタには、情報活用の豊富な経験の中から、情報の鮮度の問題や意思決定に必要なデータが揃っていない、またデータに不備があるといった状況の対応策にさまざまな知見を持っています。
例えば飲食店舗の現場でお客様に提供する料理の盛り付けに対して品質を上げたいとします。キッチンのスタッフが調理した料理をお客様に提供する前に、写真に撮り品質が高いかどうかを料理長が判断をしてから提供していては、店のオペレーションが回りません。そこで料理をIoTで自動的に画像にしてAIで判断し、その場で合否判定をすることを考えてはどうでしょうか?この場合は、多くのデータ処理を必要としましすし、瞬間的にコンピューティングパワーが必要となります。クラウド上にある人工知能と店舗のIoTが密に繫がって情報を処理しなければなりません。 クラウド上にある人工知能は学習をします。それぞれの店舗からあがってきた情報をもとに、料理の品質の合否判断だけではなく、判断する場合の基準を更新することができます。

スマートコミュニケーションプラットフォーム

ユニリタでは、このように情報を人や人工知能とのコミュニケーションを通じ有効に活用するインフォメーションフローを実現するためのプラットフォーム「スマートコミュニケーションプラットフォーム(SCPと呼ぶ)」を用意しています。企業間の取り引きや企業内の働き方改革を行うためには、企業間のインフォメーションフローや企業内のインフォメーションフローを扱うためのプラットフォームが必要となります。プラットフォームは人と人とのコミュニケーションだけではなく、人と機械とのコミュニケーションも扱えるようになっていなければなりません。

スマートコミュニケーションプラットフォーム

次号では、このSCPでどのようにデジタル変革におけるインフォメーションフローを実現するのか? また、デジタル変革における運用とはどうあるべきか?を詳しく解説します。

担当者紹介

戌亥 稔

デジタルサービス本部
Be.Cloud部
執行役員
戌亥 稔

製品・サービス

コミュニケーション型PaaS「スマートコミュニケーションプラットフォーム(SCP)」

コミュニケーション型PaaS「スマートコミュニケーションプラットフォーム(SCP)」

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