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Case

導入事例

経験とノウハウをデータで蓄積 未来を照らす農業経営プラットフォーム「ベジパレット」|かぶや 様

経験とノウハウをデータで蓄積   未来を照らす農業経営プラットフォーム「ベジパレット」|かぶや 様

千葉県香取市で小かぶ農家を営んでいる「かぶや」では、これまで、手書きのノートを活用して圃場を管理してきました。検索性の課題と効率的な圃場管理を実現するべく、播種の時期、日々の作業、収穫、出荷までの記録をデータ化。その際に採用したのが、ユニリタが提供する農業経営支援クラウドサービス「ベジパレット」。今では日々の農作業に無くてはならない存在となり活用しています。

導入製品・サービス

ベジパレット

課題

  • 記録はノートに手書き。これまで紙による圃場管理に終始していた
  • 作付や作業記録など過去の情報をノートから探し出すことに手間がかかっていた
  • 農業経営に必要な各種情報を蓄積するプラットフォームを模索していた

解決策

  • 点在していた情報が、体系化されたフォーマットに集約。利活用できる作業日誌が手中に
  • データに基づき圃場数が多いことから煩雑化しやすい連作障害を回避。圃場ごとの過去記録から網羅的に作戦が立てやすくなった
  • データを蓄積するだけでなく、将来的にデータを活用できる環境が整備できた
  • 体系的に記録できる環境が整備できたことで、近い将来「小かぶ」の収益構造が明確になる道筋が見えた

導入メリット

  • 圃場や作付、作業項目に加え、資材情報などをマスター化して、日々の作業を「ベジパレット」に記録。農業経営に必要なデータを蓄積していくことで、作付計画の立案時に過去のデータを参照しながら最適な計画策定が可能になった。健全な農業経営を実現するうえで必要な収支データをリアルタイムに把握することが可能になり、一株単位の原価計算の実施も容易になった。
  • 日々の記録を活用し、普段と異なるデータに気付きを得て対策を検討する、そんなデータドリブンな農業経営のプラットフォーム(情報基盤) としてさらなる活用に期待を寄せている。

これまでは手書きのノートで圃場の状況を管理

農業が盛んな千葉県香取市で、家業である農家を継ぎ、現在は「艶こかぶ(あでこかぶ)」というブランドを持つ小かぶ農家として辣腕を振っている「かぶや」代表の熱田 正人氏。通常農家で使われるような化成肥料だけでなく、ビール酵母やキノコの菌床といった植物や土壌によりよい状態をもたらす微生物や菌を活かしたバイオスティミュラントと呼ばれる農業資材を用いるなど、こだわりながら丹精込めて小かぶを栽培しています。

熱田氏が手掛ける「艶こかぶ」は、関西と東北のスーパーが販路の中心となっていますが、地元のフレンチ料理店をはじめ、ミシュランに名を連ねる京都の懐石料理店でも使われるなど、その品質は折り紙つきです。「堆肥も動物性のものは一切使っていません。植物性の汚泥や食物残渣などの肥料だけを使うなど、品質にこだわっています。『艶こかぶ』というブランドを掲げている以上、変なものは作れません」と熱田氏は語ります。1人でも多くの人を笑顔にできる農業を目指し、安心安全かつ安定の美味しさを食卓に届けています。

そんな熱田氏が新たな取り組みとして検討したのが、圃場を効率的に管理する仕組みづくりでした。そもそも小かぶは、早ければ播種から35〜38日ほどで収穫できるため、1年を通じて同じ畑で連作するのが一般的です。小かぶに限らずですが、1つの畑で連続して同じ作物を栽培すると病気にかかりやすくなる連作障害が起きやすいため、2カ月ほどは葱など別の作物を植えたり数年ごとに土壌改良などを実施したりしています。

特に土壌改良などを実施するには、どのタイミングで肥料を畑に入れたのかなど、通年で圃場の状態を把握していくことが重要で、何らかの方法で記録していくことが必要です。熱田氏は、以前は播種の時期や日々の作業記録、肥料の種類やその量、タイミング、収穫時期、出荷情報までを全て手書きのノートに記録していました。「圃場の使用状況などをきちんと記録しておくことで、畑を休ませる時期や堆肥を入れるタイミングなどを考えます。圃場に対して次に何をすべきなのかを判断する材料として、圃場管理は欠かせません」と語ります。

効率的に情報へアクセスするための基盤として注目した「ベジパレット」

長い間アナログな記録簿を用いて圃場管理を行ってきましたが、過去の情報を確認する際にはノートから情報を探し出す必要があり、当然ながら手間がかかることに。そこで、効率的な情報アクセスを実現する新たな仕組みを模索していた熱田氏。実は以前から圃場管理が可能なサービスはイベントなどでその存在を認知していました。「もともと農業WEEKなどの展示会で、圃場管理の仕組みは世の中にいろいろ存在していることは知っていましたが、具体的に使ったことはありませんでした」。

そんな熱田氏が当初考えたのが、システムに詳しい地元の知り合いに頼って、Excelをベースに簡易的な圃場管理の仕組みを構築するアプローチでした。実際に開発を依頼しようと考えた矢先に、ちょうどユニリタから農業経営支援クラウドサービス「ベジパレット」の提案を受けたと当時を振り返ります。「その時の“圃場ごと、作付ごとの収支管理ができる”という説明に共感したのを覚えています」。

当時、熱田氏は、新たな販売先を開拓するうえで、生産原価の管理、とりわけ原価計算の必要性を感じ、実際に一株単位までの原価計算を行っていたのです。この計算だけでも、人件費や機械の耐久年数に基づいた使用状況など、さまざまな情報を寄せ集め、A4で2枚ほどのボリュームになっていました。「1反・10アール単位での売り上げで収支を判断しているケースがこの辺りの農家では一般的ですが、うちは従業員を雇用していることもあって、もっと細かなレベルで収支を把握する必要があります。その点、『ベジパレット』が圃場ごと・作付ごとに収支管理できるのは、原価計算とともに経営判断の指標として良いと感じました。原価計算や収支管理は、品質を担保しつつも効率的な圃場の運営を実現する圃場管理とは異なる観点のものですが、さまざまなデータが集積できるプラットフォームがあれば、何を把握するにしても効率が良くなるのでありがたいと考えていました」と熱田氏。

ベジパレット収支画面
※画面はサンプルです

日々の作業記録としてデータを蓄積、考えるための情報アクセスが迅速に

現在は、15ほどある圃場に対して、品種別に播種した日付を軸に「ベジパレット」に情報を記録しており、作業者ごとの作業記録を日々カレンダーから記録していく運用で、作業日誌のような感覚で情報を登録している状況です。基本的には、1日の作業が終了した段階で、事務所のパソコンで作業者、作業内容を記録しています。いずれはスマートフォンを使って現場で作業入力し、カメラを使った現場の記録などに役立てる予定だと語ります。

また、作業者の日々の作業記録の実績を中心に、売り上げ情報に紐づく出荷記録も活用しています。現状は日々現場に出ている熱田氏が毎日の作業指示を行っているため、「作付計画に基づいた作業予定情報は入力していません。事業規模が拡大して作業者が増えてくれば、作業予定を共有する使い方もできる」と語ります。

過去の書類など紙媒体で集積した各種データと圃場管理のエッセンスを少しずつ「ベジパレット」への反映を進めており、データ活用はこれからです。「昨年の作付状況を確認しながら今年の作付を考えるなど、溜まったデータの活用は少しずつ始めています。手書きの書類だとファイルを探し出して確認するまでに手間がかかりますが、『ベジパレット』であればすぐに情報確認できます。考えるための情報へのアクセスが早い」と熱田氏は評価します。

ダッシュボード画面
※画面はサンプルです

「『ベジパレット』で各種情報をデジタル化したことで、例えば出荷に関しては収支がその場で把握できるメリットが得られている」と語る熱田氏。「小かぶは収穫までの期間が短く、計画播種で出荷量を決めているため、『ベジパレット』ではあくまで売り上げ状況を確認する程度ですが、固定でかかる人件費もあるため、情報としては参考になっています。小かぶは長く畑に置いておけないため、収支の状況を見ながら、相場の良い次期を待って出荷する方法で収支改善するのは難しいですが、他の野菜を手掛ける農家であれば、収支を見ながら早めに手を打っていくこともできるでしょう」。

「ユニリタについては、農業現場に必要な項目や機能について利用者の声を元に『ベジパレット』の機能拡張を続けており、その対応について評価しています。例えば、当初から種苗数を入力する項目が用意されていましたが、小かぶはデシリットルの単位で数えるため、0.7といった小数点での入力が必要です。農家の管理実態を伝えていくなかで、必要なものはサービスに反映いただけています」。また、ユニリタ自身が実証圃場を持ち、生産者として自ら農業を実践している姿にも共感していると語ります。

出勤簿への展開などデータ活用に向けて活用の幅を広げる

「資材高騰によるコスト意識を持つためにも、倉庫マスターに保管する農薬・肥料を使用した分量に応じて在庫引き当てができる機能は、非常に有効だ」と力説します。

また、「現在は記録を付けるフェーズですが、これからは蓄積されたデータをうまく活用するフェーズにステップアップしていきたい」と語ります。「作業日報的な使い方として、誰が何時まで出荷調整の作業をしたか、その実績を記録に入れています。また、現在は手書きで出勤簿を作成していますが、これが日ごとにうまく抽出できれば出勤簿として使えるはずです。溜まったデータをうまく使って効率化につなげていきたい」と熱田氏は期待を寄せています。

さらに熱田氏は、「自身に限らず、『ベジパレット』を活用する農家にとって、外部データとの柔軟な連携についてはメリットが大きい」と語ります。「例えば、トマトなど施設野菜を栽培している農家であれば、日照時間や積算温度は欲しい情報でしょう。圃場に環境センサーを設置して情報を集積するなんてことも検討できるところです」と熱田氏。農業経営に必要なさまざまな情報を集積して収支を可視化し、データに基づき無理無駄を発見し対策する「利益を最大化する農業」を行うためのプラットフォームとしての「ベジパレット」、そしてユニリタに対する期待は大きいと最後に語っていただきました。


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