セルフBIによる本部主導のDX推進に貢献|株式会社 安藤・間 様
「Waha! Transformer」と「MotionBoard」で推進する建築業DX
国内外のさまざまな土木・建築プロジェクトを手掛けている建設会社の株式会社 安藤・間では、2022年に策定した2030DXビジョンに基づいて強力にDX推進を行っています。そのなかで、社内に蓄積された情報を効率的に収集加工するための仕組みとしてETLツールの「Waha! Transformer」を、蓄積された情報を現場で可視化するための仕組みとしてセルフBIツールの「MotionBoard」を活用しています。
導入製品・サービス
導入メリット
全社を挙げて複数のDX推進プロジェクトを進めるなか、現場で発生した災害情報をいつでも可視化、分析できる環境整備が必要に。情報の収集・加工にETLツールの「Waha! Transformer」を、セルフBIツールとして「MotionBoard」を活用することで、災害情報の可視化を実現。現場の安全品質を高めるための情報提供が可能に。目次
課題
全社で進めるDX、災害情報の可視化・分析に向けた環境整備を目指す
2013年に建築に強みを持つ安藤建設株式会社と土木に定評のある株式会社間組が合併して誕生した株式会社 安藤・間。ダムやトンネルをはじめとした土木分野や、事務所、商業・物流施設といった建築分野に多くの施工実績を持ち、東南アジアや北米など海外でもプロジェクトを数多く手掛けるなど、準大手ゼネコンの1社として人々の暮らしや社会の発展に貢献し続けています。現在は、2020年に策定した長期ビジョン「安藤ハザマVISION2030」に基づき、その実行プランである「中期経営計画2025」(2023年度~2025年度)において「企業価値の向上」と「会社の魅力向上」を基本方針に掲げ、事業強化や人的資本の価値向上、ESG経営の推進に取り組んでいます。
また、2022年には安藤ハザマDXビジョン2030を策定し、「おのおのの生活スタイルに合った新しい働き方」、「建設業の変化や新事業の展開にあわせたキャリア開発とデジタルテクノロジーの活用による能力の拡張」、「リスキリングで獲得した多様な能力を活かした新規事業などの新しい価値の創造」を目指して、全社的なDX推進に向けた施策を強力に進めています。その中心的な役割を果たしているのが、同年に新設されたDX戦略部です。「DX推進に向けた計画立案とともに、各本部が主体的に活動するDX推進プロジェクトに対して、各本部とともにシステム導入などを手掛けています」と経営戦略本部 DX戦略部 DX推進グループ長 庄司 雅彦氏は説明します。
経営戦略本部 DX戦略部
DX推進グループ長
庄司 雅彦氏
同社では現在、全社で50を超えるDX推進プロジェクトが進められており、そのなかで、安全品質環境本部安全部では、工事の安全に関わるDX推進を主導しています。「過去に発生した災害発生時の対応履歴などを蓄積していますが、この情報が現場でいつでも閲覧でき、各現場において注意すべき内容を確認・分析できるよう環境整備を進めています」と安全品質環境本部 安全部 部長 髙木 浩志氏は説明します。
情報提供に関しては、Excelなどを使うと毎月のデータ更新の負担が大きいため、現場で蓄積された情報が自動的に更新され、現場ごとに自由に分析できる基盤の整備が求められたのです。
解決策
本部主導のDXに欠かせない「MotionBoard」、ETLとして実績のある「Waha! Transformer」を選択
新たな環境については、以前からBIツールを使った情報分析基盤を使用していたことから、BIツールを基盤として現場へ情報提供する環境づくりを念頭に検討を進めていきました。ただし、導入済みのBIツールである「Dr.Sum」の場合、「Dr.Sum Datalizer」と呼ばれるクライアント側での分析ソリューションとなり、現場に分かりやすく可視化するための環境としては十分ではありませんでした。「以前は全社で共有する情報をグラフ化するニーズがなかったため『Dr.Sum Datalizer』を使ってきましたが、安全部がDXに取り組むなかで、具体的にグラフ化するニーズが出てきたのです」と庄司氏。
そこで、現場自身で可視化しやすいセルフBIツールを検討することに。複数のソリューションを検討するなかで注目したのが、ユニリタが提案した「MotionBoard」でした。「3カ月程度と短期間での導入が求められていたことで、ツールの習熟やサポート体制、契約面などを含めて検討した結果、ユニリタが提案する『MotionBoard』が最適だと判断しました」と髙木氏。実は年度内に可視化できる環境までを目標に掲げていたことで、他部署から3カ月間限定で応援要員が招集されていました。そのメンバーが支援してくれる3カ月のうちに環境整備を進める必要があったのです。
安全品質環境本部 安全部
部長
髙木 浩志氏
「MotionBoard」を評価した理由に、オンプレミスの環境下で利用できる点が挙げられます。今回取り扱う情報が災害情報などの社内で蓄積された貴重な資産であり、クラウド上での管理に懸念を抱いていました。「全社員で災害情報を共有することになるため、セキュリティ面、コスト面でもオンプレミスによる買い切りの環境が望まれたのです」と庄司氏。
一方で、システム間でデータ連携基盤を整備するには、データの発生元システムと「Dr.Sum」をつなぐ、社内外を連携する仕組みが必要になります。その仕組みにはETLツールの「Waha! Transformer」が最適でした。「以前整備した『Dr.Sum』において、BIにて扱える形に情報を加工するためのツールとして『Waha! Transformer』を長年活用しており、データの収集や加工プロセスがシンプルに実現できる点も大きかった」と庄司氏は評価します。
ユニリタについては、2013年の合併以前から両社とも取引があり、その支援実績には高い評価をいただいていました。「『Waha! Transformer』はもちろんですが、『Dr.Sum』もユニリタから調達しており、分析基盤の環境整備にも以前から尽力いただいていました。『MotionBoard』についても、支援いただける環境があったことでお願いすることにしたのです」と庄司氏は語ります。
結果として、安全部が推し進める災害情報を現場の用途に応じて柔軟に抽出できる環境整備に向けて、「Waha! Transformer」および「MotionBoard」を提供するユニリタが選択されることになったのです。
導入効果
災害情報の可視化・分析基盤によって現場の安全管理に役立つ情報提供が可能に
当初は、災害情報が記録されたExcelを「Waha! Transformer」にて収集したうえで「Dr.Sum」に蓄積していましたが、現在は災害報告システムを個別に構築し、入力された災害情報を「Waha! Transformer」にて「Dr.Sum」へ展開したうえで、「MotionBoard」にて可視化する環境が整備されています。この災害情報は、約3,600人の全社員が自由に閲覧、分析できる環境になっています。
また、施工管理業務支援のクラウドサービスとして建設業界で広く活用されているeYACHOと連携し、施工現場を定期巡回した際のパトロール情報を可視化する仕組みづくりも現在進められています。eYACHO内に起票されているパトロール情報を、RPAを使ってCSVに落とし込み、DBへ展開後に「Waha! Transformer」にて「Dr.Sum」に展開し、「MotionBoard」で分析できる環境を整える計画です。「定期的に施工現場を巡回した際にチェックリストをもとに安全に運用されているかどうかの確認を行っています。月次で開催されている安全衛生委員会などの会議体にて危険箇所として指摘された情報を共有することで、各現場での安全管理に役立ててもらう予定です」と髙木氏は説明します。
現在は、災害情報の見える化に向けて、「MotionBoard」を使って安全部主導のもと複数のチャートを作成しており、このチャートを見て現場側で別の角度から分析するための環境を現場からの助言を受けて作り上げている段階です。「新たな気づきにつながる環境を整備でき、DX推進に向けた第一歩を踏み出せたことが何より。現場での活用をさらに広げていきたい」と髙木氏は力説します。
DX推進の立場では、建設本部や営業部門でも「MotionBoard」を使って不具合分析や予実管理のためのチャートを作成するなど、現場にデータ活用の環境が提供できている点を評価します。「DX戦略においては、デジタイゼーションからデジタライゼーションへ進んできており、データ分析による新たな環境を根付かせていくことに大きく役立っています」と庄司氏は評価します。
実装に携わっているDX戦略部 業務システムグループ 阿部 雅也氏も「以前現場にいた時は、各種の報告はWordやExcelで作成してメールで各所に送信していましたが、今は全てシステム内で完結できるようになり、業務効率化にも大きく貢献しています。最終的にはグラフとして可視化できる点も担当者としてはとても活用しやすい」と高く評価します。
DX戦略部
業務システムグループ
阿部 雅也氏
環境整備に向けては、短期間での導入が求められたこともあり、ユニリタの強力な支援のもと、「Waha! Transformer」でのデータ収集含めた環境整備を進めていきました。「災害情報の可視化のタイミングでは、ユニリタさんのご協力で2週間ほどで環境を整備していただけました。実は以前から『Waha! Transformer』は社内のデータ連携で数多く利用しており、今は常駐している外部のエンジニアが主体となって『Waha! Transformer』での開発を行っています。使い勝手がよく重宝しています」と阿部氏。社内のデータ連携に関しては、連携用のバッチプログラムを個別に作成する場合と、「Waha! Transformer」を活用して柔軟にデータ連携するケースの2つに分かれており、納期や用途に応じて作り分けられている状況です。
「MotionBoard」については、安全部などの利用部門が主体となって早期にチャート作りが可能なスキルを習得し、セルフBIとして現場に必要な可視化を実現しています。「技術的な経験がない方でもスムーズに習得できるなど使い勝手については好評です」と阿部氏は語ります。定期的な勉強会など現場への浸透についてもユニリタが支援しており「事前に疑問点をメールでお伝えして、当日答えを持ってレクチャーいただくなど、レスポンスよく学びの場を提供いただけて感謝しています」と髙木氏。
今後の展開
災害情報の有効活用と経営情報の見える化など、「MotionBoard」のさらなる活用に期待
今後については、現在収集している災害情報を活用していく過程で、さらに現場活用につながるためのデータベース整備への見直しが必要になってきており、これまで以上に有効活用するためにもリストの見直しなどに着手していく計画です。「今後、官公庁が持つ日本全国の災害情報が公開される可能性があります。どんな形でオープンデータ化されるかどうかは現時点ではわかりませんが、これら膨大なデータもうまく取り込んでいきながら、安全品質向上につながる災害情報の有効活用を進めていきたい」と髙木氏は期待を寄せています。
DXを全社的に推進する立場としては、「MotionBoard」のさらなる活用で経営情報を見える化することでレポート作成の工数を効率化するなど、DX推進計画を着実に実施していきたいと語ります。「他にも、人事データなどさまざまな業務データのデジタル化が進んできているため、データ活用をさらに加速させながら、ビジネスモデル変革につながるようなDXを強力に推し進めていきたい」と庄司氏。
また現在、「MotionBoard」による現場のデータ活用を契機に、同社の技術研究所(茨城県つくば市)にてBI研究が進められています。「データアナリティクスの講師を招いて高度なデータ分析への取り組みも進めていますが、今回の『MotionBoard』の取り組みがその足がかりとなっています。現場に対して進めるセルフBIの環境とともに、高度なデータ分析を可能にするエンタープライズBIの領域にもしっかり取り組んでいきたい」と今後について阿部氏は語ってくださいました。
株式会社 安藤・間(呼称:安藤ハザマ)
- 事業内容:(1)土木建築工事の調査、測量、企画、設計、施工、監理
(2)不動産取引および不動産の保有、利用
(3)土壌の調査・浄化工事の請負
(4)地域・都市開発および環境整備に関する企画、設計
(5)発電および電気、熱等エネルギーの供給事業 - 従業員数 :3,332 人(2023年4月1日現在)
- ホームページ : http://www.ad-hzm.co.jp/
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