創業100年を超える教科書出版最大手の基幹系業務システムを支えるジョブ管理ツール「A-AUTO」|東京書籍株式会社様
~メインフレームからオープン環境へのマイグレーション後も継続採用~
教科書出版の最大手である東京書籍株式会社(以下、東京書籍)では、1980年代から稼働してきた基幹系業務システムのプラットフォームを、今般、IBM製メインフレームから、同じくIBM AS/400(IBM i)を中心とするオープン環境へマイグレーションを実施しました。それにあたって、メインフレーム時代から使い慣れたユニリタの「A-AUTO(エーオート)」を基幹システムのジョブ管理に引き続き利用しています。「A-AUTO」は同社の業務の中枢に位置するミッション・クリティカルなシステムにおいて、安定稼働に貢献し続けています。
今回、マイグレーションの経緯や「A-AUTO」を継続採用した理由や背景等について、情報システム部部長である阿井 貴広氏、参与の小泉 博正氏にお話を伺いました。
導入製品・サービス
目次
教科書出版だけでなく文化事業にも意欲的な東京書籍
東京書籍株式会社
情報システム部
部長 阿井 貴広氏
東京書籍は、わが国の教科書出版のリーディングカンパニーです。教科書をはじめ、教育ソフト・学習教材の開発・販売、学力・体力テストなどの各種評価事業、一般書籍・辞典の出版、ネット事業も行っています。2009年に創業100周年を迎えた老舗企業です。
同社附設の東書文庫は、日本で最初にできた教科書図書館。約142,000点の資料を所蔵しており、その中の76,000点余りが2009年に国の重要文化財に指定されました。
また近年では日本語を正しく使うための「日本語検定」に協賛するなど、文化事業にも積極的に取り組み、豊富な実績を有しています。
メインフレーム時代からジョブの自動化にA-AUTOを採用
東京書籍では1980年代から基幹系業務システムをIBM製のメインフレーム上で稼働させていました。受注から出荷、売上、請求までのビジネスフロー全体をカバーする販売管理システムで、文字どおり、ビジネスの屋台骨を支える基幹系業務を担っています。
ユニリタの「A-AUTO」との付き合いもその頃から始まっていたと語るのは、メインフレームへの「A-AUTO」導入に携わっていた阿井氏です。
「当時は業務が終了するとホストを手動でシャットダウンし、朝の起動もスタッフが交代で早出して対応していました。牧歌的な時代でしたね。夜間のバッチ処理を手動制御していたこともあり、メインフレームの自動運転とともに、バッチ処理の自動化を模索していたときに出会ったのがA-AUTOです。A-AUTOは他社製品と比較し、MT管理など機能が豊富だったこともあって導入しました」と阿井氏。
また、運用現場の最前線で実務を担当してきた小泉氏は次のように語ります。
「A-AUTOのジョブ管理機能はとても優れていました。設定登録など、使いこなすには多少操作を覚える必要もありましたが、メインフレーム自体の操作が複雑だったこともあり、当時はそういうものだと思って使っていました」
コスト削減要求をきっかけにマイグレーションを実施
東京書籍株式会社
情報システム部
参与 小泉 博正氏
東京書籍のシステム稼働状況には、教科書出版をビジネスドメインとする同社ならではの際立った特長があります。
「それは繁忙期とそれ以外の期間で実行する業務量の差が大きいことです。毎年、2月下旬から5月の連休明け頃までが繁忙期となり、この時期だけで年間の2分の1以上を売り上げるほどです。従って、それに伴う業務データ処理も、朝と夜の2本立てで対応しています」
「システムの堅牢性という意味では、この時期を業務停止などの問題を起こすことなく乗り切ることが弊社のシステムには求められ続けています」と阿井氏は語ります。
長年にわたって稼働を続けてきたこのシステムのマイグレーション・プロジェクトが持ち上がったのが2006年のこと。そのきっかけはコスト削減要求だったと阿井氏は説明します。
「メインフレームはプログラム・プロダクト費用やアプリケーション保守費用など、運用にかかるコストは膨大な金額になります。経営層からなんとかならないかという要請があり、ダウンサイジングの検討を開始しました」
そして、数ある候補の中から阿井氏らが選択したのはメインフレームと同じIBM製のAS/400(IBM i)を主軸としたオープン環境でした。
その理由を阿井氏は、メインフレーム時代の安定した稼働状況に不満がなかったことと、同じIBM製ハードウェアへの移行ということで、さほど大きなストレスなくマイグレーションが実施できるのではないかという期待にあったといいます。
コスト削減だけでなくパフォーマンス向上も実現
マイグレーションの効果についてお聞きすると、次のような答えが返ってきました。
「ホスト自体のコストが10分の1ほどに削減でき、その他の設備投資を余剰分でまかなえています。全体としてコストは大きく圧縮できました」と阿井氏。
「それに対して、ハードウェア自体のパフォーマンスは大幅に上がっています。メインフレーム時代に比べ扱うデータ量は倍増していますが、処理速度は短縮していますね」と小泉氏も口を揃えます。
データ量が増えているというのは、マイグレーションの際に、ビジネスフローを見直し、従来以上にきめ細かな商品管理を実施するようにしたという理由があります。
「メインフレーム時代と比較して商品点数はおよそ2割増えています。さらに、各々の商品に複数のアイテムが付随するようになっています」と小泉氏は解説します。
たとえば、試験対策やテストの商品があれば、それにまつわる問題集や解答集などがひもづきます。従来はそれらをまとめてひとつの商品と見なしていたところを、効率的な在庫管理のために、個別に管理するようになってきています。
「さらに、同じ商品でも年度によって版が変わります。今はその版管理まで行っています」と阿井氏もいいます。
ジョブ管理ツールはA-AUTOを継続採用
取り扱うデータ量の増大に伴って、運用管理の難易度は上がります。ジョブ管理ツールの重要度も一段と高まることになりますが、メインフレーム時代の経験と実績から「A-AUTO」が高く評価され、継続採用が決まりました。
「バージョンは新しくなるにせよ、基本的には同じ製品なので、同じ発想で使え、新しく学習する必要がなかったということ。またメインフレーム時代からの置き換えになるので、ライセンスに関わるエクストラコストが最小限で済むということが決め手となりました」と阿井氏は理由を説明します。
「A-AUTO」では、すでにご購入いただいているライセンスを、ハードウェアやOSなどの稼働環境が変わっても、そのままご利用いただける「ライセンス交換サービス※」を用意しています。運用されるお客様の立場に立ったユニークなサービスですが、そこを高くご評価いただけたようです。
メインフレーム時代から引き続いて運用実務を担当する小泉氏は新しく導入された「サーバ版A-AUTO」について、次のように評価します。
「フローの画面はビジュアライズされて、とても見やすいです。動いているのか、正常に終了しているのか、エラーになっているのかが一目瞭然になりました。また、Webブラウザ上で設定や登録の操作できるようになり、操作性が格段に向上したのもいいですね。状況に応じてコマンド入力による操作を行うこともありますが、どちらのインターフェイスにも対応しているのは使いやすいと思います」
コマンド自体はメインフレーム時代と同一なので、その方が早い場合もあると笑いながら小泉氏。
課題だったコスト削減をマイグレーションによって解決した阿井氏ら。次の課題として、データのバックアップ自動化に「A-AUTO」のリモート機能を活用することを考えているそうです。
ジョブ管理ツール「A-AUTO」を介して、メインフレーム時代から続くユニリタとのパートナーシップは、今後も東京書籍のビジネスを支えていきます。
※2010年12月末をもってメインフレームからのライセンス交換サービスは終了しました。現在はオープン環境におけるライセンス購入時にお支払いいただいた対価に相当するライセンスを無償提供しています。